目 次
クリエイター向けパソコンとは?
クリエイター向けパソコンは、さまざまなクリエイティブ分野で使いやすいように設計されています。動画編集・デザイン設計・CAD・作曲などは高い性能が要求されるため、それに耐えられるスペックになっているのです。 一般的なパソコンやゲーミングパソコンとは、どのような違いがあるのでしょうか。それぞれの違いを解説します。
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一般的なパソコンとの違い
クリエイター向けパソコンは、発色の良いディスプレイを採用するなど、性能を高めています。また、動画編集のように長時間負荷をかけた状態が長く続いても、快適に使えるように設計されています。
パソコンの処理能力に影響する CPU や GPU には高性能なものが採用されていたり、データ保存するためのストレージにも、一般的なパソコンより容量が多く搭載されていたりします。
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ゲーミングパソコンとの違い
ゲーミングパソコンは、ゲームプレイを快適にするための機能が搭載されています。例えば、クリエイター向けパソコンは高解像度の 4K ディスプレイを採用したモデルもありますが、ゲーミングパソコンは反応速度の速いフル HD ディスプレイが主流です。
また、グラフィック処理を担う GPU にも違いが見られます。ゲーミングパソコンは NVIDIA® GeForce® が主流ですが、クリエイター向けパソコンには CAD や 3DCG 制作 に向いている NVIDIA® Quadro を搭載したモデルもあります。
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クリエイター向けパソコンの予算相場
クリエイター向けパソコンは高性能なパーツが多く搭載されているため、一般的なパソコンよりも価格は高くなります。性能によって価格差にバラつきはあるものの、安いものでも15~20万円以上が相場のようです。搭載しているパーツ、例えばグラボ1つ取ってもミドルレンジ以上のモデルとなると単体で数万円するものがほとんど。CPUやメモリーも高性能なものを搭載しているため、どうしても一般的なパソコンよりは本体価格が高くなります。
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①デザイン作成・加工
Adobe社が提供するPhotoshopやIllustratorなどのソフトを定額で使用することができるAdobe Creative Cloudは、多くのクリエイターが画像や動画の加工・編集・各種デザインに使用しています。また、快適にマンガやイラストを描くことができるCLIP STUDIO PAINT(クリスタ)も、多くのデザイナーなどから愛用されています。
このような高機能なソフトをスムーズに使うためには、スペックの高いCPUやGPUを搭載したパソコンが必要です。これらのソフトを使用する際はメモリーが重要となるため、最低でも8GB、できれば16GB以上のメモリーを選びましょう。また、ソフトによってはDirectX 12に対応したGPUが必要となるものもあるため、グラボに関してはNVIDIAのGeForceシリーズや、クリエイター向けRTXシリーズの搭載も検討しましょう。
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②映像の編集・加工
動画の映像は4Kや8Kなど解像度が高いとファイルサイズが大きくなるため、編集やファイルの出力には高い性能が求められます。素材ファイルや編集後の動画ファイルを保存するためには大容量のストレージが必要です。また、CPUとメモリーにも高性能が求められ、性能が低過ぎると処理に時間がかかってストレスを感じてしまうでしょう。CPUはCore i7もしくはRyzen 7、メモリーは最低でも16GB以上、できれば32GB以上を搭載したクリエイター向けパソコンであれば、安定した編集作業や高速なエンコードが可能です。
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③作曲
DTM (デスクトップミュージック) や作曲などで使われるCubaseのような音楽製作ソフトでは、CPUの性能が重要となります。複数の楽器を同時に演奏させたい場合など、コア数やスレッド数の高いCPUが必要です。具体的にはCore i5以上、Ryzen 5以上のモデルを選びましょう。CPUの性能が高ければ同時に複数の処理を実行することができるため、トラック数が多い場合やエフェクトなどの加工を使用する場合でも対応可能。CPUの性能が高く、メモリー容量も大きなクリエイター向けパソコンであれば、思うような音楽を表現することができるでしょう。
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④図面作成
図面作成でCADソフトを使うにはGPUとメモリーの性能が重要となります。グラボにはゲームなどに適したタイプとCADに適したタイプがありますが、クリエイター向けパソコンに搭載されているグラボは後者で、OpenGL(Open Graphics Library)というCGなどを作るのに適したAPIが搭載されています。このOpenGLに最適化された機能を搭載し、さらにCPUはCore i5以上、メモリーは16GB以上を搭載するクリエイター向けパソコンであれば、複雑なCADソフトでの設計もスムーズです。
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⑤ゲーム実況・生配信
画像の加工や配信用処理を必要とするゲーム実況・生配信では、CPUとグラボの性能が重要となります。ゲームをプレイしながら複数のソフトを使用するので、メモリーも大きな容量が必要。最低でも16GB以上を選びましょう。CPUはCore i7、グラボもミドルレンジ以上のものを選ぶことで、高い性能と長時間の配信に耐える安定性を得られます。ゲームの実況や配信ができるクリエイター向けパソコンは、CPUやGPU、メモリーなどに余裕があるため、安定して長時間のライブ配信ができるでしょう。
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パソコンの形状を決める
クリエイター向けパソコンを選ぶ時には、まずデスクトップ型にするかノート型にするかを決めましょう。それぞれのメリット・デメリットを踏まえて特徴を解説します。
● デスクトップ型のメリット
デスクトップ型は設置に広いスペースを必要としますが、同じ価格帯であればノート型よりも高性能なパーツを搭載することができます。筐体内部のスペースに余裕があり排熱対策も容易なため、負荷の高いクリエイト作業でも安心して行うことができるでしょう。使っているうちにスペック不足を感じた場合、後からパーツの増設や交換ができるのもデスクトップ型の強味。ディスプレイやキーボードなどは用途に応じて好きなものを組み合わせることができるため、画面の大きさや解像度などにもこだわることができます。持ち運びが不要で生産性を重視したい人はデスクトップ型を選ぶと良いでしょう。
● ノート型のメリット
ノート型の最大のメリットはなんと言っても持ち運びができるという点でしょう。打合せの場にパソコンを持って行き、作品を確認してもらうことやその場で修正作業を行うことも可能です。
クリエイター向けパソコンは画面サイズが作業効率に直結します。画面が大きい方が作業性は高いのですが、その分本体サイズも大きくなり重量も増すので注意しましょう。自宅や職場で使う時は別途大きなモニターを用意し、サブモニターとして使用すればノートパソコン自体のサイズは小さくてもあまり問題にならないかもしれません。パソコンを持ち運ぶ機会がありそうな人はノート型を選ぶと良いでしょう。
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CPU
パソコンの頭脳とも呼ばれる CPU は、動作周波数・コア数が多いものを選びましょう。特に動画編集においてはCPUの性能が作業効率に大きく影響するため、迷ったら高性能なCPUを選んでおくと安心。動画編集のような多数のコア数を活用する用途には、Intel® Core™ i7 以上の CPU がおすすめです。Core i5でも作業自体は可能ですが、動画のエンコード作業はCPUのコア数・スレッド数によって所要時間が変わってきます。クリエイター向けパソコンは、コア数 4~8 、周波数 3.90~5.10 GHz を備えた高性能なモデルが多くラインアップしています。
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GPU を重視する
動画編集・イラスト作成・CAD などのグラフィックを扱うソフトは、CPUだけでなくGPUを活用することで処理速度が何倍にも高速化される場合があります。GPUにはCPUと一体化した内蔵タイプと、グラボを搭載する外付けタイプがあります。内蔵タイプのGPUでは高負荷なグラフィック処理に耐えられないため、クリエイト作業をするなら外付けのグラボが必要。AI生成やCADを扱う場合はハイエンドのグラボが必要ですが、画像や動画の編集作業であればミドルレンジのグラボでも十分です。目的に合わせた処理を高速化できる GPU を搭載した、クリエイター向けパソコンを選びましょう。
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メモリーを重視する
画像や音楽、3Dデータなどを扱うクリエイティブ作業では大容量のデータを処理するため大きなメモリー容量が必要です。メモリーはデータを一時的に記憶しておくためのパーツで、容量が大きいほどサクサクと快適な処理が可能。負荷の軽い処理であれば大容量のメモリーは必要なく、一般的なパソコンでは4~8GB程度のメモリーでも十分でしょう。しかし、クリエイティブな作業をするならメモリー不足となってしまうため、16 GB 以上のメモリーを搭載できるクリエイター向けパソコンを選びましょう。
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ストレージ容量を選ぶ
大容量の画像や映像データを扱う場合や映像編集などの用途では、ストレージの容量が重要です。編集用に内部にデータを保存するだけでなく、ソフトが一時的に使用する容量も大きくなるので、1 TB や 2 TB など、ストレージ容量の大きなモデルを選びましょう。ただし、ストレージは外付けHDDやクラウドストレージを利用することで、不足を感じた時に後から追加することも可能です。限られた予算内でスペックを選ぶなら、まずはCPUやメモリー、グラボなどに予算を費やすことをおすすめします。
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SSD を優先して選ぶ
ストレージには低価格で容量が多い HDD と、データの読み書き時間が高速である分高価な SSD があります。大きなデータを使用することの多いクリエイティブな用途には、高速な処理が期待できるSSD がおすすめです。また、パソコンのモデルによってはSSDとHDDの両方を搭載できるデュアルストレージが可能なものもあります。システムなどはSSDに、画像や動画などのデータはHDDに保存するといった運用をすれば、コストを抑えつつ大容量を確保することができるでしょう。
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モニターにもこだわりを
モニターはクリエイターにとって重要なアイテムの一つ。動画や画像の編集、イラスト制作においては色の再現性が作品の完成度にも大きく影響します。サイズだけでなくパネルの種類や解像度など、こだわりを持って納得できるものを選びましょう。
● 色再現性の高さが重要
色再現性とは、作品や素材が本来持つ色をモニター上にどれだけ再現できるかを表したものです。色再現性が低ければ、モニター上で表示されている色と印刷物などの作品の色に乖離が生じてしまう可能性があるため、クリエイターにとって色の再現性はとても重要な要素となります。
モニターの色域にはsRGBやAdobe RGBなどいくつかの規格があり、これらのカバー率が高いほど色再現性が高いということができます。製作者の意図を作品に忠実に反映させるためには、色再現性の高いモニターを選ぶことが大切です。
● 液晶よりも有機ELがおすすめ
ノートパソコンのモニターはTN・VA・IPSのような液晶の他に、有機ELのパネルを採用したものがあります。液晶と有機ELでは発光の仕組みが異なり、鮮やかで色域の広い有機ELパネルは多くのクリエイター向けパソコンで採用されています。
有機ELは液晶よりも色の再現性が高く、特に黒の表現が得意。液晶モニターでは表現できないような完全な黒を表現することができます。また、応答速度が速く動画編集などでも鮮やかな色彩の映像を滑らかに映し出すことも可能です。さらに、ブルーライトの放射量も液晶より低いため、長時間画面を見続けて作業するような場合でも目への負担を軽減することができます。
● 解像度は4K対応がおすすめ
解像度とは画面に表示するドットの数のことです。フルHD(1920×1080)、WQHD(2560×1440)、4K(3840×2160)などの種類があり、解像度が高いほど細部まで鮮明な映像を映し出すことができます。高解像度になるほどモニターの価格は高くなりますが、解像度は作品の仕上がりに影響します。最低でもWQHD、できれば4K以上の解像度に対応したモニターを選びましょう。
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インターフェース
インターフェースとは、パソコンと外部機器をつなぐための端子やスロットのことです。インターフェースが充実していれば、パソコンと外部機器と接続することができるため、パソコンの拡張性が高くなります。特にクリエイト作業をする際は複数のモニターを接続して作業することがあるため、端子の種類や数はチェックしておきましょう。
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ソフトウエアや周辺機器も含めた予算を立てる
クリエイター向けパソコンは、一般的なパソコンと比べて高性能なため価格も高くなります。ノートパソコンであればデスクトップ型のようにモニターやキーボードを別途購入しなくても使用することは可能ですが、サブモニターを用意したり、作業に必要なソフトウエアを購入したりするのにもコストがかかる点には留意しておきましょう。専門性が高く、多機能なプロ仕様のソフトの中には数万円以上するものもあるので、予算を立てる際は周辺機器やソフトウエアの購入費用も含めた予算を立てる必要があります。
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Webサイトからの注文が一般的
クリエイター向けパソコンは、メーカーのWebサイトなどから注文するのが一般的です。量販店では汎用性の高いモデルが販売されていますが、クリエイター向けパソコンはそこまで需要が高くないため量販店では取り扱っていない場合が多いでしょう。クリエイト作業で使用するパソコンには高い性能が求められるため、なかなか欲しいスペックが見つからないこともあるかもしれません。そのような場合はBTOで自分好みにカスタマイズするのも一つの手です。
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大型のモデルが多い
クリエイターパソコンのように高性能なパソコンは、一般的なモデルと比べて本体サイズが大型になりやすいといった特徴があります。なぜなら、高い負荷のかかる作業を行う時には高性能なCPUやGPUがフル稼働して発熱量が大きくなるため、排熱対策として本体サイズを大きくせざるを得ないためです。内部のエアフローを改善したり、冷却システムを強化したりするためには仕方ない部分もありますが、頻繁にパソコンを持ち運ぶ必要のある人は注意しましょう。
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価格と性能は比例する
当然ですが、パソコンが高性能になるにつれて価格も高くなっていきます。高性能なパソコンは負荷の高い作業でも快適に短時間で処理することができるため魅力的ですが、作業内容によってはコスパが悪くなってしまうこともあるため要注意。必要以上に高性能なパソコンを選んでもオーバースペックとなって無駄になるため、予算の範囲内でコスパの良いモデルを選びましょう。
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クリエイター向けノートPCに
デメリットはある?クリエイターパソコンは高性能なパーツを搭載しているため、消費電力や発熱が大きくなります。バッテリー駆動で使用する場合はバッテリーの消費も大きくなるため、外出先で長時間作業する場合は注意しましょう。また、逆に負荷の軽い作業しかしないのであればクリエイター向けパソコンは必要ありません。オーバースペックな上に電気代などのランニングコストも高くなってしまうため、作業内容に応じたスペックのパソコンを選ぶことが大切です。
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安い中古パソコンは避けるべき?
クリエイター向けパソコンは価格が高いため、中古で安く手に入れられたらお得に感じるかもしれません。しかし、中古でパソコンを購入するのは避けた方が無難です。特にノートパソコンの場合はバッテリーの寿命は2~5年と言われていますが、前の使用者がどの程度の期間どのような使い方をしていたかは不明です。バッテリー交換は通常数万円の費用が発生する上に、劣化しているパーツはバッテリーだけとは限りません。大切な作品を扱うパソコンだからこそ、新品を購入して安心してクリエイト作業に取り組むことをおすすめします。
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ゲーミングPCをクリエイティブ用途
で使うことはできる?ゲーミングPCはCPUやメモリーのスペックが高く、グラフィック処理を行うためのグラボを搭載している高性能なパソコンです。GPUに違いはあるものの、ミドルレンジ以上のゲーミングPCの性能であれば、クリエイティブ用途でも十分に使うことができるでしょう。デメリットとしては、排熱のための冷却ファンの音が大きいことや、点滅するLEDが煩わしく感じることがあるかもしれません。
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Windowsパソコンでも
クリエイティブ用途で使える?クリエイティブな作業をする人はMac製品を使っているというイメージを持つ人もいるのではないでしょうか。たしかにクリエイターやデザイナーの中にはMacintoshの愛用者も多いですが、Windowsパソコンがクリエイト作業に不向きといったことはありません。
Windowsにもクリエイター向けのソフトは豊富にあり、またWindowsパソコンはエントリーモデルからハイエンドまで幅広いラインアップが展開されています。予算や目的に応じて自分にぴったりの1台を見つけられるのは、むしろWindowsの方が適しているかもしれません。
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クリエイター向けパソコンの用途
クリエイター向けパソコンといっても、用途は写真の加工・映像編集・イラスト作成・作曲など、多岐にわたります。どのような用途で活躍するのか見ていきましょう。
クリエイター向けパソコンの選び方
クリエイター向けパソコンには CPU・メモリー・ストレージ・ GPU など、一般のパソコンよりも高性能で安定した動作が求められます。パソコン購入時に注目すべきスペックについて見ていきましょう。
クリエイター向けパソコンを選ぶ時の注意点
クリエイター向けパソコンは一般的なパソコンよりも高価なため、予算や目的に応じて慎重に選ぶことが大切です。購入してから後悔することのないように、ノート型のクリエイター向けパソコンを購入する時の注意点について解説します。
クリエイター向けパソコンに関するよくある質問
ここでは、クリエイター向けパソコンに関するよくある質問についてQ&A形式で紹介します。知っておくと便利な知識もあるため、ぜひクリエイター向けパソコンを選ぶ時に役立てて下さいね。
おすすめのクリエイター向けノートPC3選
ここではLenovoの製品の中から、おすすめのクリエイター向けノートパソコンを3点紹介します。まだ欲しいモデルが決まっていない人は参考にしてみて下さい。
おすすめのクリエイター向けデスクトップPC3選
続いてデスクトップ型のクリエイター向けパソコンを3点紹介します。作業するのが自宅や職場だけという人はデスクトップ型がおすすめです。
まとめ
クリエイティブな作業を主目的とするパソコンは、パフォーマンスの高さが求められます。パソコンを使って何をするのかを明確にしておくことで、最適なパソコンが見つかるでしょう。作業中のストレスを削減するためにも、スペックを妥協しないことも大切です。 レノボでは、ビギナーからプロクリエイターにも愛用される高性能モデルまで、さまざまな製品を取り扱っています。多様なラインアップの中から、あなただけのお気に入りを見つけて下さい。
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