Legion 570 Pro レビュー by IGN JAPAN | ゲーミングPCレギオン/Legion

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Legion Doujou
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Legion 570 Pro インプレッション
ゲーミング性能とPCゲーム体験を両立した
「パフォーマンスモデル」の新水準

Reviewed by IGN Japan
: 野村光

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Lenovoの新型ゲーミングノート「Legion 570 Pro」(以下「本機」)はゲームシーンのニーズに応えたパフォーマンスモデルだ。価格比性能に秀でたGPU「NVIDIA GeForce RTX 3050 Ti Laptop GPU」(以下、NVIDIA GeForceを省略)を主軸に、ラグジュアリー品質のモニター・スピーカーで脇を固めてお得感を追求した。ゲーミング性能の必要条件とリッチな映像・音響体験を手頃な価格で両立する、Lenovo Legionの新しい水準である。

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Legin 570 Pro

パフォーマンスモデルとはPCメーカーが用いる品質区分で、ユーザー側はミドルクラスと呼ぶことが多い。ハイエンド(高価)とローエンド(廉価)の中間という意味だ。この中価格帯は価格比性能=コストパフォーマンスが高い。他社の同価格帯と勝負するお買い得機種で、2021年PC市場シェア1位(調査会社Canalysを参考)のLenovoはこの価格帯も当然強い。

もちろん、あらゆるPCゲームで最高の体験を得たいならハイエンドモデルだ。しかし 『Among Us』『Fall Guys』といった画像処理の負荷が軽いゲームではパワーをもてあましてしまう。逆にゲーミングGPU非搭載のローエンドモデルは安いが、画質・フレームレートがコンシューマー機より低くなる。大体のゲームに満足でき、それでいて安く買いたい、というニーズに答えるのがパフォーマンスモデルというワケだ。

以上の観点で本機の推奨ゲーマーを先に述べよう。それは主戦場がコンシューマー機のゲーマーである。AAAタイトルはPS5/Xbox Series Xで遊び、話題のインディゲームを本機で押さえる、二刀流のゲーミング環境に適している。また前世代のPS4/Xbox OneよりもGPU性能が高いので、ゲーミング環境をPC主体にするのもアリだ。この推奨文を土台に本機のカタログ性能と使用感を紹介する。ビデオゲームの感動を決して妥協しない、Legionブランドの真価に注目してもらいたい。

待ちに待ったミドルクラスGPUの真打

ゲーミングノートのモデルはGPUで決まる。GPU性能でゲーム解像度の適性が決まるからだ。本機はミドルクラスGPU「RTX 3050 Ti」を搭載する。前世代GPU「RTX 2060」と位置づけが近くパーツ価格が安い。まさにこれが欲しかったミドルクラスだ。まずはAAAタイトル『サイバーパンク2077』のベンチマークでPS5/Xbox Series Xと比較する。

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PC版 『サイバーパンク2077』パッチ1.6ベンチマーク。4K解像度のレイトレーシングはタイトル画面に移行すらできないため測定不能とした。

PS5/Xbox Series X版は4K解像度で60fps(レイトレーシング時は30fps)となる。コンシューマー機版の画質はハード性能に合わせてエフェクトを一部省略するため、PC版の最高画質と数字で優劣を決めることができない。とはいえ、グラフのとおりだがAAAタイトルの最高画質をミドルクラスGPUで動かすのは無理がある。スーパーサンプリング機能「NVIDIA DLSS」の有効化は必須となる。

画質・フレームレートを両立したいFPSで、前世代GPU「RTX 2060 Max-Q」搭載ゲーミングノート「Legion slim 750i」と比較したのが下図となる。フルHD解像度で両機の差は小さいが、4K解像度で本機はフレームレートが大きく下がった。これはGPUのメモリ量が関係している。RTX 3050 TiはGPUメモリは4GBで、フルHD解像度は十分性能だがWQHD解像度以上では性能不足となり、4K解像度はゲーミングに適さない。その分、パーツ価格が安い。

003.jpg
『Escape from Tarkov』のベンチマーク。 比較機のフレームレートは過去記事から引用。

以上をもってゲーミング性能検証とする。これらグラフ結果はゲーム側で最高画質に設定したもので、ミドルクラスGPUにあわせたものではないので安心されたし。ゲーム設定で画質を下げれば本機モニターWQXGA解像度で十分通用する。ラグジュアリー品質の本機モニター(詳細は次章)を加味すれば、画質・フレームレートの落とし所は見つかるだろう。

GPU以外の性能パーツは次のとおり。CPUは 「AMD Ryzen 7 6800H モバイル・プロセッサー」。ビデオゲームはCPU性能の依存度が低いのでコストダウンに貢献している。PCメモリはDDR5 16GBと必要十分な性能だ。ゲーム配信に用いるVC・ブラウザ・音声認識・英語字幕ソフトの併用にも耐える。ストレージは512GB M.2 SSDで読み込み速度がゲーミング級、容量はAAAタイトル5本分またはプレイ録画40時間分(ビットレート20Mb/sで計算)に相当する。これらすべて支障なしだ。

性能パーツの所感は本章冒頭で述べたとおり「まさにこれが欲しかった」。というのも昨年のミドルクラスGPUは高価なRTX 2060と非力なGTX 1650の2択で、その中間がなかったからだ。ゲームジャンルによって過剰性能か性能不足となるおそれがあり、友達にパフォーマンスモデルを勧めるときはヒアリングが欠かせなかった。本機はそうした勧める側のジレンマを解消してくれる、ゲーム友達にもありがたいゲーミングノートである。

ビデオゲーム体験をDo It Yourselfしよう

「Legion 570 Pro」の性能パーツは「Ideapad Gaming 370(NVIDIA RTX 3050 Ti モデル)」と同じだ。エントリーノートのゲーミングモデルというメーカーの位置づけに異論はない。比較機との価格差は性能パーツ以外のラグジュアリー品質にある。特に、GPU性能の使い勝手を伸ばしたモニター品質は特筆に値する。

モニター品質を紹介するまえに、本機並びに比較機の特徴的な形状を述べる。モニター画面の縦横比は16:10で、一般的な16:9より縦方向に少し広い。これはゲームをウィンドウモードで動かしたときに真価がわかる。ゲームウィンドウの縦横比16:9を維持したままタスクバーを表示できるのだ。ゲームプレイ中にチャット・SNSソフト、メモ帳ソフト、ブラウザをタスクバーから取り出せる。これは思わぬ発見であった。

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ゲームをウィンドウモードで動かした状態。WQHD解像度ウィンドウの上にデスクトップ画面を、下にタスクバーを表示できる。ゲームプレイ中にDiscordのチャットチェックや攻略サイトを追うのに便利だ。

その上で本機モニターには格上ポイントがふたつある。ひとつは高解像度+高フレームレートだ。WQHD解像度を内包したWQXGA解像度(2560x1600)、かつリフレッシュレート165HzのFreeSync対応である。GPUパワーに余裕があるゲームで高解像度化または高フレームレート化を狙えるのはうれしい。また60fpsを下回っても可変リフレッシュレート機能FreeSyncが滑らかに画面描写してくれる。

もうひとつの格上ポイントはDisplayHDR 400対応だ。本機OSのWindows11には自動 HDR機能があり、DirectX 11以降のPCゲームをOS上でHDR化できる(対応ゲーム起動時にOSが通知する)。光源の印象を増しつつ色味が多少鮮やかになり、それでいて黒色が白ボケしないのは好感だ。自動 HDR非対応のゲームでも黒色の表現力があがり暗い部分のシルエットが多少分かりやすくなる。

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『Apex Legends』の自動 HDR(画像左)とHDR無効時(画像右)のモニター直撮り。画面の色味が少し鮮やかになった。

本機のイチオシポイントはモニターがGPUにカタログ性能以上の使い勝手をもたらした点だ。高画質・高フレームレート・レイトレーシング・HDRを組み合わせ、ビジュアル体験をカスタマイズできる。スピーカーシステムもぬかりなく、音方向の定位感に定評があるNahimicオーディオを採用する。Bluetoothスピーカーを用意するだけでサラウンド化でき、並のヘッドセットを軽く上回るのは驚きだ。

本体デザインもそつなくまとまっている。ポートレイアウト( 詳細は公式サイトを参照)はゲームプレイを念頭に置いた設計だ。USB Type-Aが後面に2門あり、マウス+ヘッドセットのコードが邪魔にならない。電源ポートが後面ポート部の一番左にあり、手探りで電源ケーブルを挿せるのも助かる。冷却系もすばらしい。パフォーマンスモード時でもファン音は控えめ、マウス使用時で気になる右側面排気口も熱風を吐き出さない。Legionブランドが誇る「Legion Coldfront 4.0」は快適なゲーミング環境を約束する。

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公式サイトより引用。冷却系に数々の改良をほどこしTDP+15Wを達成した。熱容量の拡張でパフォーマンスモードの静音性とオーバークロックモードの熱耐性を実現する。なおオーバークロックモードでGPU100%稼働させると左側排気口の周囲が暖かくなり、扇風機「中風」程度のファン音を発する。

キーボードはテンキー付き日本語レイアウトで、ファンクションキーと右手側記号キーが小さい。文字キーはキー間が狭いものの、キートップ自体が広いのでタッチタイプの窮屈さはなかった。キー構造はパンダグラフ式で打鍵感は一般的なノートPCの感触である。

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日本語キーボードレイアウト。BackSpaceキーがやや小さい。

キーボード発光は4ブロックでRGB色指定でき、イルミネーションパターンは3種類、ライティングがサウンドに同期するScreen Sync機能(メーカー固有名称)はない。ここに不満はないが、LED光の明るさ調整に難がある。消灯した部屋で床に寝そべって本機に向き合うと、キーの隙間からもれるLED光が明るさ調整最低でもまぶしく感じた。これらキーボードは人それぞれに好みが出る要素ゆえ不問とする。

Legionのパフォーマンスが光る逸品

総括として率直な感想から述べる。一年前なら20万円相当のパーツ性能とラグジュアリー感を約16万円で手にできるのがうれしい。これなら安心してゲーム友達やIGN JAPAN読者に推せる。コンシューマー機のゲーマーが配信環境を求めるときも、PCゲーマーが数年前のPCから買い換えるときも、「Legion 570 Pro」をゲーミングノートの基準として考えてもらいたい。

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モニター背面のLegionロゴは光沢入りでオシャレ。排気口まわりのデザインはゴツみなくまとまっている。

筆者個人の見解だが、シャシーデザインの奥ゆかしさが好きだ。周囲に警戒心を抱かせる無骨さは控えつつ、鋭角的なシルエットでスタイルを主張する。モニター背面のLegionロゴも露骨な名乗り上げがなく、たたずまいが落ち着いている。例えるなら愛用の懐刀といったところか。ゲーミング環境のDo it Yourselfしやすさがオーダーメイドならではの心地よさを生み、オーナーの満足感をくすぐると請け合おう。

本機購入時の懸念材料は、GPUメーカーNVIDIAが2022年後半に次世代GPU「RTX 4000」シリーズの発売を予定している点だ。とはいえノート用GPUはデスクトップ用より発売が遅く、明日ゲーミングノートを求めるなら関係ない話である。それに次世代GPUの影がチラ見えするのはいつものことだ。考えようによっては、現世代GPUのRTX 3000シリーズが普及価格に近づいた要因とも言える。

あわせて、メーカーLenovoの特色も告げておく。Lenovoはパフォーマンスモデルの層が厚く、ゲーミングブランドLegionも例外ではない。本機のCPUをダウングレードして予算をGPUに回す「もう一声」が欲しいなら、intel CPUモデル「Lenovo Legion 570i」にも目を向けてほしい。Core i5-12500H + RTX 3060のモデルからモニター品質を選べる。そして今一度「Legion 570 Pro」に目を向けたなら納得のコストパフォーマンスに気付くはずだ。そう、購入前に納得できるのがLenovoの魅力である。

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