IdeaCentre Gaming 560 レビュー by IGN JAPAN

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テレワークのあとも使える
ミドルハイクラスPC
Lenovo『IdeaCentre Gaming 560』

Reviewed by IGN Japan 
野村光

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テレワークにマッチしたゲーミングデスクトップを量販店で買おう

企業向けPCはミドルクラス以下のノート型が占めていた。1日8時間もデスクに座り続ける業種は少なく、仕事する場所を選ばない可搬性が先立つからだ。しかしテレワークを奨励する時流でニーズが変わりつつある。ビデオ会議でフォーマルな見栄えを求めて、そして商材画像をふんだんに用いた営業書類の作成で、自宅デスクへ長時間向き合うようになった。

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このときデスク上にノートパソコンを置くと、モニターへうつむき続けて肩が凝る。またキーボードのレイアウトもキーピッチが狭く入力ミスをまねく。これらを外付けモニターやフルサイズのキーボードで解決したなら、可搬性はお役御免となりデスクトップPCを用いても支障がない。テレワークのPCに求めるのは処理能力の高さであり、その最高グレードは「ゲーミング」である。ゲーミングデスクトップはテレワークに使えるのだ。

002

Lenovoの量販店向けゲーミング・デスクトップPC『IdeaCentre Gaming 560』はハイバリューマシンだ。ホームPCの落ち着いた外観にパワフルなスペックをつめこみ、コストパフォーマンスを追求した。本稿はデモ機の本シリーズ上位モデル(以下、本機)を3つの用途でインプレッションする。

まずはテレワーク用デスクトップPCの適性、次にゲーミング性能だ。最後は巣ごもり需要のひとつ、ホームシアターへ用いるときの留意点を述べる。以下に詳細を記すので、テレワーク環境を改善したいゲーマーは検討材料にしてほしい。

仕事が「速い」、できるヤツ

仕事にPCを用いるなら、CPU・メモリ・ストレージの速度にこだわりたい。本機の性能を業務内容で言い表せば、カタログやチラシといった大量の画像をあつかうDTP用途で使える品質だ。並行処理にも強く、Adobe Media Encoderで動画をエンコードしつつMicrosoft Officeで書類作成もこなせる。タイムカードを押さなくてよいなら、仕事は速いほうがいい。

003
画像: 左下の緑色バーがストレージ速度の測定結果。

CPUはAMD Ryzen 7 5700Gで、去年発売のintel Core i7-10700より若干高速なハイエンドグレードだ。メモリはDDR-4 3200MHzを16BG搭載し、Adobe PhotoshopとAdobe Illustratorを同時にあつかえる。ストレージはM.2 SSDの1GBで、シーケンシャルリード3500MB/sとハイエンドグレードに近い。処理能力にかかわるパーツは高性能だと太鼓判を押そう。

細かな点だが本体の利便性もあげておく。無線LANはWi-Fi 6対応で、部屋レイアウトは電源コンセントだけを考えれば事足りる。Bluetooth v5.0にも対応し無線マウス・キーボードをそのまま使える。本体サイズは13.6Lケースで、一般的なミニタワー型と比べて横幅14.5cmとやや薄い。横幅90cmの自宅デスクでも余裕をもってモニター横に置ける。本体上面の取っ手をつかめばヒョイと持ちあがる、取り回しやすさも快い。

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写真: 横幅120cmデスクに置いた本機と、デモ機の25インチモニター。

本体前面のマルチカードスロットとUSB-Type Cは、カメラやスマートフォンから画像を出すときに重宝する。ディスクドライブは未搭載だが、大容量ファイル転送はクラウドストレージを用いるのが主流ゆえ、困るケースは少ないだろう。

以上でテレワーク用途のスペック紹介とする。ゲーミングPCよりひとまわり小さいボディで仕事はきっちりとこなす、なんとも頼れるヤツだ。圧縮ファイルの展開や画像ファイルのサムネイル表示、メールソフトの起動など、基本動作がとにかく速い。結果待ちの時間が短いから集中状態を維持できる。集中と休憩のメリハリがつき作業効率があがる。ひいては仕事の時短を望めるはずだ。空いた時間を家事なりに用いれば、テレワーク環境すなわち家庭環境がマシになろう。もちろん、余暇の娯楽たるビデオゲームでも本機は大活躍する。

フルHDゲーミングはRTX 3060がベストチョイス

ゲーミング性能はGPUのグレードとほぼ同義だ。本機はNVIDIA GeForce RTX 3060を搭載する。コストパフォーマンスに秀でたミドルハイクラス(中の上)である。モニターのチョイスでゲーマーの個性がでる、という意味でも刺激的なグレードだ。

005
写真: 本機左側のケースカバーを取り外した図。写真中央のGPUは緑色の文字で機種名が書いてあり、電源を入れると文字が光る。なおケースカバーを外すときはドライバーを要する。

GPUグレードはモニター解像度の推奨値だと思えばよい。ゲームの画質設定を最高にして、フレームレート60FPS以上で動作するのが推奨解像度だ。時代ごとに推奨値は変わるが、2021年現在ではミドルクラスがフルHD、ハイエンドは4KHDが該当する。その中間にあたるミドルハイクラスはWQHD(2560x1440)で、27~31.5インチモニターに向いている。

グレード検証のためフルHD・WQHD・4KHD解像度でフレームレートを測定した。デモ機のゲーミングモニター『Lenovo Y25f monitor』は、解像度フルHD・リフレッシュレート144Hzである。WQHD・4KHDはGPU機能でスーパーサンプリング(名称、DSR)したので、参考値とされたし。

  • 006
    『Apex Legends』 - 画像負荷:中 ・フルHD 162FPS ・WQHD 115FPS ・4KHD 70FPS
  • 007
    『Escape from Tarkov』 - 画像負荷:大 ・フルHD 85FPS ・WQHD 55FPS ・4KHD 30FPS

ベンチマーク結果のとおりフルHDは60FPS以上で安定する。WQHDでは画像負荷が大きいタイトルでも60FPSに近づく健闘を見せた。4KHDも良好でコンソール機水準の30FPSはある。タイトルやジャンルにあわせて画質を調整すれば事足りるだろう。

以上でゲーミング性能の紹介とする。スポーティーなフルHDゲーミングモニターもよいが、WQHDモニターでデスクトップ画面を広げて在宅勤務の快適さを求めるのもアリだ。デスクの横幅に余裕があるならDisplayHDR 600の4KHDモニターも狙える。このケースならホームシアターを構築するのもおもしろい。

ホームシアターへの拡張性

テレワークを推奨する時流から余暇を自宅で過ごす時間が増え、ホームエンターテインメントのニーズも高まっている。在宅勤務で買ったゲーミングPCで、ホームシアターを構築すればお得感がさらに増す。本章では本機をホームシアターに用いるときの留意点をあげる。

まず、ディスクドライブ未搭載ゆえ映像ソフトの鑑賞には外付けドライブを要する。Blu-rayソフトには再生ソフトも要するので気をつけたい。とはいえ、家庭用ゲーム機のBlu-rayソフト再生機能を使えば事足りる。PS5やXBOX Siries Xを使わずに、Ultra HD Blu-rayを10bitカラーHDRで鑑賞したいなら、外付けドライブを買い足すのはアリだ。

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写真: 横幅120cmのデスクに置いた、35インチのDisplayHDR 600対応4KHDモニター、サウンドバー(Sony HT-X8500)と本機。

映像端子はHDMI 2.0bが1門、DisplayPort 1.4が3門だ。マルチモニターを構築するならDisplayPort端子を使えばよい。HDMI端子しかない液晶タブレットでも、DisplayPort - HDMI変換ケーブルを用いれば大丈夫だ。しかし、サウンドバーはHDMI端子で接続しないとDolby AtmosやDTS:Xの信号形式を再生できない。サウンドバーのHDMIパススルーで音声・映像が遅延したときは、DisplayPortでモニターを、HDMIでサウンドバーを接続すれば解決する。

仕様書上、本機の内蔵ボードはPCI-Express x1がひとつ空いている。しかしGPUが空きスロットをふさいでおり使えない。ビデオキャプチャー、テレビチューナー、サウンドカードはUSBで外付けとなる。

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写真: PCI-Expressスロットと電源ユニット。写真のとおり内蔵ボードは増設できない。電源ユニットはスリム型のTFX規格。

ケース内の話がでたので電源ユニットも述べておく。電源容量は380Wだ。AMD Ryzen 7 5700Gが65TDP、NVIDIA GeForce RTX 3060は150TDPで、ふたつ合わせて電源容量から100W以上余裕がある。この構成なら電源面の支障はなく、パーツグレードもハイエンドの80PLUS PLATINUMなので長寿命を見込める。GPUを上位機種に換装するときは、電源ユニットの換装も要するので注意されたし。

上記の留意点はPC用語で「拡張性」という。つまり空きスロットはいくつあるか、どんな周辺機器を取り付けできるか、という話だ。本機の拡張性はホームシアター用途を満たす。それはデスク用PCの他にも使い道があるということだ。

テレワーク推奨の時流が落ち着き在宅勤務が少なくなれば、リビングの大型テレビに接続して家族全員で使うホームエンターテインメント用PCとすればよい。落ち着いた外観と控えめなLED発色、そしてスリムボディがかもし出す品の良さは、リビングにもマッチしよう。

量販店向けモデルならではのお買い得度

『IdeaCentre Gaming 560』はホームPCに求める用途を網羅したハイバリュー・デスクトップだ。テレワークの在宅勤務で時短に役立ち、ゲーミング性能はWQHD解像度に対応する。周辺機器を取り付ける拡張性もあり、ホームシアターのコアシステムとしてあつかえる。

ここで下位モデルとの違いを述べておく。下位モデルはミドルクラスのゲーミングPCで、フルHD解像度・リフレッシュレート60Hzのモニターが適合する。映像端子はDisplayPort 1.4・Dual link DVI-D・HDMI 2.0bが各1門なので、マルチモニターとサウンドバーを併用するときは留意したい。在宅勤務の性能は、Microsoft ExcelやMicrosoft Powerpointで商材資料をつくる分にはサクサク動く。

本稿で何度もお買い得度をアピールしたが、コストパフォーマンスの競合品はある。同社ゲーミングPC『Lenovo Legion T550』だ。メーカー直販モデルはセール期間中にお買い得度がグッと増す。とはいえセール期間中は注文が殺到し、在庫不足で到着まで時間を要することがある。本機は量販店モデルゆえ店舗ごとに価格・在庫状況が違い、到着日と価格で妥協点をはかりやすい。

量販店モデルにはもうひとつ利点がある。量販店ごとのサービスだ。最寄りの家電量販店に取り寄せできるなら、購入店舗を修理窓口にできる。量販店独自のアフターケアを追加もできる。巣ごもり需要で家電を買い換える、または買い換えたあとなら、キャッシュバックポイントも活用できよう。

テレワーク推奨の時流も考えれば、ミドルハイクラス・ゲーミングデスクトップの量販店モデルは「買いやすさ」の点でかつてないほど価値が高まった。『IdeaCentre Gaming 560』は在宅勤務・ゲーミング・ホームシアターをすべて満たす、注目の高性能PCだ。

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