目 次
GPUの役割をわかりやすく解説
画像や動画など映像に関する処理を専門的に担っているパーツのことをGPUといい、最新のゲームを遊んだり、高画質の動画編集を行ったりするときに欠かすことができない存在です。しかし、GPUが求められているのは、それだけではありません。 GPUの役割にはどういったものがあるのか、簡単にわかりやすく解説していきます。
-
GPUの基礎知識
GPUはGraphics Processing Unitの略で、映像を処理するためのパーツです。パソコンのなかで、画像や動画をはじめとする映像を処理し、表示する役割を担っています。それに対してCPU(Central Processing Unit)はパソコンの頭脳ともいえるパーツで、計算やデータの処理、プログラムの実行などを担っています。
CPUが一つひとつの作業を高速に処理することを得意としているのに対して、GPUは複数の作業を同時に処理することを得意としています。映像の処理を行うには、大量のデータをまとめて処理できるGPUが適しているのです。これにより高画質で、なめらかな映像を表現でき、最新のゲームや動画編集を快適に行えます。
GPUに注目が集まっているのは、AIに欠かせないためです。大量のデータをもとに分析・処理するAIには、大量のデータを同時に処理するGPUが必要なのです。これにより、高性能なGPUに対する需要が高まり、価格が高騰するほど品薄になりました。
-
GPUとグラボの違い
GPUと似たような言葉に、グラフィックボード(グラボ)があります。パソコンの世界では、GPUとグラボはほぼ同じ意味の言葉として使われていますが、厳密には異なります。
GPUが映像処理向けのプロセッサーなのに対して、グラボはGPUを搭載したハードウェアを指します。つまりGPUは、グラボのなかの一部品として動作しているのです。グラボにはGPUのほかにも、メモリや冷却ファン、出力端子などの部品が搭載されています。これらの部品が組み合わさって、グラボとして映像を表示する役割を果たすのです。
しかし、日常の会話やパソコンを購入するときでは、GPUとグラボを基本的に同じものとして考えて問題ありません。
-
CPU内蔵GPUとは
GPUはグラフィックボードだけでなく、CPUにも内蔵されています。あまり意識することはないでしょうが、よく使われているのはCPU内蔵のGPUです。多くのパソコンではCPU内蔵GPUが使われており、こちらのほうが一般的です。日常的な作業やWebサイトの閲覧、動画再生など、一般的なパソコンの映像処理ではCPU内蔵GPUが使われていて、グラフィックボードを使用することはほとんどありません。
ただし、CPU内蔵GPUは専用のグラフィックボードと比べると性能が劣ることが多く、ゲームや高解像度の動画編集を快適に行うのは難しいでしょう。あくまでも一般的な用途向けのGPUなのです。
-
GPUの性能が重要な用途
一般的なパソコンの用途であれば、CPU内蔵のGPUでこと足りることが多いです。しかし、ゲーム、動画編集、AIの処理などは、GPUの性能が快適さを大きく左右します。
ゲームであれば高解像度でなめらかに映像を映し出すだけでなく、光の反射など複雑なエフェクトを表示するために高性能なGPUは欠かせません。高性能なGPUがあることで、現実と見間違うほどリアルな映像を楽しめるでしょう。
高画質の動画編集でも高性能なGPUは、大いに役立ちます。複数の動画データの処理、レンダリングなど、GPUの性能が高ければ快適なスピードで処理が進みます。AIのような大量のデータを同時に処理するような用途も、高性能GPUの出番です。
こういった用途ではCPU内蔵GPUでは能力が不足するため、別途グラフィックボードが必要になります。
GPUの三大メーカーの特徴
GPUの市場には三大メーカーがあり、それがNVIDIA(エヌビディア)、AMD、そしてIntelです。いまパソコンにおけるGPU市場は、この三大メーカーで独占されているといってよい状態です。それぞれのメーカーについて、詳しく解説していきます。
-
NVIDIA
NVIDIAはGPUのトップメーカーとして知られる企業で、AIの発達によるGPUの需要増から今後の世界を牽引するともいわれています。
また、パソコンのゲームユーザーからも高性能GPUを提供する企業と知られており、ゲームやクリエイティブ分野に最適化したGPUの「GeForce(ジーフォース)」シリーズは高い支持を得ています。
NVIDIAはただのGPUメーカーではなく幅広い分野へと進出しており、自動運転、データサイエンスなどで存在感を示しています。IntelとAMDに独占されていたCPUへの進出も発表されており、NVIDIAは今後のパソコン市場を大きく左右する可能性を秘めている企業のひとつです。
-
AMD
AMDはアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(Advanced Micro Devices)社の略称で、パソコン市場だとIntelに次ぐ半導体メーカーとして広く知られています。CPUだけでなくGPUでもAMDの名前はよく知られており、「Radeon(レイディオン)」シリーズが高い人気を誇っています。
RadionにはGeForceとは異なる技術が使われており、ユーザーの好みに応じて選ばれることが一般的です。さらにAMDは、CPUとGPUの機能を統合したAPUという製品も提供しています。グラフィックボードを搭載しないパソコンでは、このAPUを搭載することで映像処理ができるようになっています。
-
Intel
IntelはパソコンのCPUではトップメーカーと知られていますが、2022年にGPUの市場にも参入しました。ミドルグレードのGPUを中心に展開しており、一般ユーザーに適した製品を提供しています。GPUの製品として「Intel Arc(インテルアーク)」シリーズが発売されています。
Intel Arcの特徴は、他社の同グレードのGPUと比較して価格が安めに設定されていることです。コストパフォーマンスのよさから、ミドルグレードのゲーミングPCを検討しているユーザーの関心を集めています。
NVIDIAとAMDの2択だった状態から、さらにIntelが加わったことになります。まだ、GPU市場を席巻するほどのインパクトは与えていませんが、今後の動向に注目です。
グラボのメリットとデメリット
グラフィックボード(グラボ)をパソコンに搭載することで、どんなメリットが得られるのでしょうか。また、どのようなデメリットがあるのでしょうか。グラボ導入によるメリットとデメリットを、わかりやすく解説します。
-
メリット
グラボの導入によるメリットは次のとおりです。
- ゲームなどで高品質な映像表現が可能になる
- 映像処理にかかる時間を短縮できる
- 高解像度ディスプレイがマルチディスプレイで利用できる
グラボを導入することで、もっとも大きく実感できるのは映像の品質向上です。たとえば、高い解像度での映像表現が可能になるうえに、なめらかで自然な動きも表現できるようになります。さらに光の反射などもリアルに再現可能です。
また、時間のかかる映像処理もスムーズに行えるため、動画編集などの作業が大幅に快適になります。長い待ち時間が大きく短縮され、それだけ効率よく作業できるでしょう。4Kのような高解像度ディスプレイを、複数台接続できるようになるのもポイントです。
-
デメリット
グラボの導入そのものは決して悪いことではないのですが、デメリットも無視できません。代表的なデメリットには、次のものがあります。
- 消費する電力量が多い
- 大型のパソコンでなければ搭載できない
- 高性能なグラボは価格が高い
グラボの難点は消費する電力量の多さです。高性能グラボだと一般的なパソコンの電源ユニットだと足らず、大容量の電源ユニットが必要になります。当然、パソコンの使用時間が長ければ、それだけ電気代も跳ね上がります。
また、グラボはサイズが大きく、タワー型、セミタワー型などの大型のパソコンでなければ搭載できません。そして、価格の高さも特筆すべきポイントです。高性能グラボになると数十万円以上にもなり、パソコンと変わらないほどの値段がします。
グラボを搭載するときの注意点
グラボをパソコンに搭載するには、いくつかの注意点があります。気に入ったグラボを購入しても、そのまま使えるとは限らないのです。グラボに興味を感じたら、無駄な出費にならないよう必ず注意点に目を通してください。
-
パソコンによって搭載できる
グラボに制限があるすべてのパソコンに、自分が選んだグラボを搭載できるわけではありません。パソコンのケースのサイズや、電源ユニットの容量、マザーボードの拡張スロットの数や種類によって、選べるグラボに制限があります。これらの条件をクリアしたグラボでなければ、パソコンに搭載できないのです。
特に小型のパソコンだと、大型のグラボが物理的に収まらないのです。パソコンの電源ユニットが必要な電力を供給できない場合も、グラボが正常に動作しない原因となるでしょう。高性能なグラボを搭載できるのは、特別なパソコンだけだと思っておいたほうがよいです。
-
電源に余裕が必要
パソコンには、電源ユニットというパーツが搭載されています。電源ケーブルから届いた電力を変換し、パソコンの各パーツへと供給する役割を担っています。安定してパソコンへ電力を供給するため、重要になるのが電源ユニットの容量です。この容量が小さいと、グラボのような電力消費量の大きいパーツを動かせないのです。
たとえば、300W(ワット)の容量の電源ユニットを搭載しているパソコンだと、350Wの電力が必要なグラボを取りつけても電力が足りず、正常に動作しないおそれがあります。高性能グラボを搭載するには、750W、800Wといった大容量の電源ユニットへの交換が必要になることもあります。
-
ノートブックは
バッテリーの持続時間が短いノートブックのなかには、グラボ搭載モデルがあります。グラボを搭載しているため、最新のゲームを高品質な映像で楽しむことができ、ゲーミングノートとしてゲームファンのあいだでも人気です。搭載しているのはノートブック向けのグラボですが、CPU内蔵のGPUよりもはるかに高性能で、デスクトップパソコンのGPUに負けないほどの性能を持つものも少なくありません。
ただし注意点があり、電力消費量の多いグラボを搭載しているため、バッテリーの持続時間が短くなります。そのため、外でゲームを楽しむためというよりは、屋内でゲームを楽しめる省スペースパソコンといった使い方が中心になるでしょう。
-
スリムPCは
ロープロファイルPCI対応のみグラボは一般的にサイズが大きいものが多く、基本的にスリムPCのようなコンパクトサイズのパソコンには搭載できません。しかし、コンパクトサイズのパソコンのために設計されたロープロファイルPCIという規格に合わせたグラボであれば、搭載することが可能です。ロープロファイルPCI対応の
高性能なグラボはありませんが、それでも3Dゲームを楽しめる性能を持つグラボが発売されています。
そのため、スリムPCであっても電源ユニットの容量さえ足りていれば、グラボを搭載して3Dのゲームを楽しめます。
-
性能を活かすにはCPUやメモリが重要
グラボの性能を最大限に活かすには、性能の高いグラボだけでは不十分です。CPUやメモリといったほかのパーツも性能が高くなければ、グラボの性能を引き出せないのです。
たとえば、高性能なグラボを搭載しても、CPUの性能が低いと映像以外の処理がスムーズに行えません。また、メモリの容量が少なければ、大量のデータを処理できないのです。グラボだけ高性能だと、ほかのパーツに足を引っ張られてしまうわけです。
このようにグラボの性能を活かすには、バランスのよいパソコンが必要になります。高性能なグラボを導入するときは、CPUやメモリの性能にも注目しましょう。
Lenovoの高性能GPU搭載パソコン
Lenovoは多くのユーザーの信頼を集める、世界的なパソコンメーカーです。高性能GPUを搭載したパソコンを多数発売しており、ゲームや動画編集、AIの処理など幅広い分野で活用できます。そんなLenovoで発売されている、おすすめのGPU搭載パソコンを紹介します。
-
おすすめのノートブック
Lenovo LOQ 16IRH8 -
おすすめのデスクトップパソコン
Lenovo LOQ Tower 17IRB8