目 次
プロセッサーとは何か

パソコンの心臓部とも言えるプロセッサー。CPUやGPUなどさまざまな種類が存在し、それぞれが特徴的な役割を担っています。ここではまず、プロセッサーの基本的な定義や機能について解説していきます。
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プロセッサーの基礎知識
プロセッサーは、コンピューターシステムにおいて演算や制御を行う中核となる電子回路のことをいいます。デジタルデータを処理し、ソフトウエアの命令を実行する役割を担っている重要なパーツです。現代のコンピューターには複数種類のプロセッサーが搭載されてることが一般的。それぞれが得意とする処理を分担することで、効率的な動作を実現しています。基本的な仕組みを理解することで、パソコンの性能をより深く理解することができるでしょう。
● プロセッサーの定義
プロセッサーとは、デジタルデータの演算処理を行う電子回路の総称です。コンピューター内部では全ての情報が「0」と「1」の二進数で表現されており、プロセッサーはこれらのデジタルデータに対して、足し算や引き算などの算術演算、データの比較や条件分岐といった論理演算を高速で実行します。また、メモリーとのデータのやり取りや、各種装置の制御なども担当し、コンピューターの動作に不可欠な存在です。
● プロセッサーの種類と特徴
プロセッサーは、CPU(中央処理装置)、GPU(画像処理プロセッサー)、DSP(デジタル信号プロセッサー)など、複数の種類が存在します。CPUは最も代表的なプロセッサーで、OSの実行やアプリケーションの処理など、コンピューターの中心的な演算を担当します。日常会話では「プロセッサー」と「CPU」が同じ意味で使われることが多いですが、技術的にはCPUはプロセッサーの一種であり、プロセッサーはより広い概念として扱われます。
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主なプロセッサーの種類
コンピューターシステムには、さまざまな種類のプロセッサーが搭載されています。その中心となるのがCPUで、全体の制御と基本的な演算処理を担当。また、画像処理に特化したGPUや、特定の用途に最適化された専用プロセッサーなど、それぞれが得意分野を持っています。これらのプロセッサーが連携することで、効率的な処理が可能となり、高い性能を実現しているのです。
● CPU(中央処理装置)
CPUは、コンピューターの中枢を担う重要なプロセッサーです。オペレーティングシステムの実行やアプリケーションの処理など、基本的な演算処理を行います。IntelやAMDなどのメーカーからさまざまな製品が販売され、コア数やクロック周波数などの性能指標によって処理能力が決まります。
● GPU(画像処理プロセッサー)
GPUは画像処理に特化したプロセッサーで、3Dグラフィックスの描画や動画処理を高速に実行することができます。近年では、機械学習や暗号通貨のマイニングなど、並列処理が必要な用途でも活躍。多数の演算器を持つため、大量のデータを同時に処理するのが得意です。
● その他の専用プロセッサー
CPUやGPU以外にも、特定の処理に特化した専用プロセッサーというものが存在します。例えば、音声処理を担当するDSP(デジタル信号プロセッサー)や、AI処理に最適化されたNPU(ニューラルプロセッシングユニット)などが有名です。これらは限られた機能に特化することで、高効率な処理を実現しています。
CPUについて詳しく解説

ここでは、プロセッサーの中でも特に重要な役割を持つCPUについて見ていきましょう。CPUの内部構造やデータ処理の仕組み、そして性能を決める要素について解説します。コア数やクロック周波数、キャッシュメモリーなど、パソコンを選ぶ際に目にする用語の意味も理解することで、CPUの性能をより正確に把握できるようになります。
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CPUの基本構造
コンピューターの頭脳であるCPUは、複数の重要な構成要素が組み合わさって機能しています。中核となる演算装置(ALU)と制御装置(CU)が基本的な処理を担い、高速なデータ保持のためのレジスタやキャッシュメモリーがそれらをサポート。データ処理の効率を高めるため、これらの要素は高速なバスで接続され、緻密に制御されています。近年のCPUは複数のコアを搭載し、同時に複数の処理を実行できる並列処理能力を備えており、処理能力が高いのが特徴です。
● CPUの内部構造
CPUの心臓部とも言える演算装置(ALU)は、数値計算や論理演算を実行する回路です。基本的な四則演算から複雑な論理演算まで、あらゆる計算処理を高速で行います。一方、制御装置(CU)はプログラムの命令を解読し、各部品に適切な指示を出す指揮官のような役割です。データの一時保管場所として、最も高速なメモリー領域であるレジスタが設けられており、現在処理中のデータや命令を保持します。
さらに、メインメモリーとCPUの間には「キャッシュメモリー」が配置されており、頻繁にアクセスするデータを保持することで処理速度の向上を実現。これらの構成要素は、高速なデータバスによって相互に接続され、ナノ秒単位の精密な制御によって効率的なデータ処理を可能にしています。
● データの処理方法
CPUによるデータ処理は、「フェッチ」「デコード」「実行」「ライトバック」という4つの基本サイクルで行われます。まず、メモリーから命令をフェッチ(取り出し)、その命令をデコード(解読)して実行すべき処理を特定。次に、演算装置で実際の処理を実行し、結果をレジスタやメモリーに書き戻します(ライトバック)。
現代のCPUは、この処理サイクルをパイプライン化することで、複数の命令を同時並行で処理することが可能です。また、分岐予測や投機実行といった高度な技術を用いて、処理効率を向上させています。さらに、マルチコア技術によって複数のコアで異なる処理を同時に実行することが可能となり、全体的な処理性能が大きく向上しました。
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CPUの性能指標
CPUの性能を理解する上で重要となるのが、コア数、スレッド数、クロック周波数、キャッシュメモリーなどの指標です。これらの要素は、CPUの処理能力を直接的に左右し、実際の動作性能に大きく影響を与えます。パソコンの購入時やスペックを比較する際には、これらの数値を総合的に判断することが用途に合った製品選びのポイントとなります。それぞれの指標について見ていきましょう。
● コア数とスレッド数
コア数は、CPUに搭載された物理的な演算処理装置の数のことをいいます。1つ1つのコアは独立して動作できるため、コア数が多いほど同時に複数の処理を実行可能。一方、スレッド数は1つのコアで同時に処理できる命令の数を表します。例えば、4コア8スレッドの場合、物理的な処理装置は4つですが、仮想的に8つの処理を同時に実行できるという意味です。この技術をハイパースレッディング(Intel)やSMT(AMD)と呼び、マルチタスク処理の効率を向上させています。
● クロック周波数
クロック周波数は、CPUの基本的な動作速度を示す指標で、一般的に「GHz(ギガヘルツ)」の単位で表されます。例えば、3.5GHzは1秒間に35億回の基本処理が可能であるという意味です。現代のCPUには負荷に応じて周波数を自動的に変更する「ターボブースト」や「プレシジョンブースト」といった機能が搭載されており、必要に応じて処理性能を向上させます。ただし、高周波数での動作は発熱も大きくなるため注意も必要。冷却性能や消費電力とのバランスを取りながら、最適な動作周波数が制御されています。
● キャッシュメモリー
キャッシュメモリーとは、CPUの処理速度とメインメモリーの速度差を埋めるための高速なバッファメモリーのこと。L1、L2、L3の3階層で構成され、CPUに近いほど高速ですが容量が小さく、遠いほど大容量ですが速度は比較的低速になります。例えば、L1キャッシュはCPUコアに最も近く、命令キャッシュとデータキャッシュに分かれており、最も頻繁にアクセスされるデータを瞬時に提供します。一般的なCPUではキャッシュメモリーを複数のコアで共有しており、高速で効率的なデータアクセスが可能です。
CPUの製品情報

市場に出回っているCPUの主要メーカーは、IntelとAMDの2社が中心です。両社からデスクトップパソコン向けやノートパソコン向けなど、さまざまな用途に合わせた製品が販売されています。ここでは、各メーカーの代表的な製品シリーズの特徴や、デスクトップ向け・モバイル向けの違いについて解説していきます。用途に合わせた最適なCPU選びの参考にして下さい。
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デスクトップパソコン向けCPU
デスクトップパソコン向けCPUは、十分な電力供給と効果的な冷却機能を前提に設計された高性能プロセッサーです。主にIntelとAMDの2大メーカーが、それぞれ特徴的な製品シリーズを展開しています。なお、本記事で紹介しているCPUの価格はあくまで参考値であり、市場の状況により変動することがあります。Intelは安定性に定評があり、Core iシリーズを中心とした製品展開で、AMDはコストパフォーマンスの高さが特徴のRyzenシリーズが人気。両社の製品ラインナップについて詳しく見ていきましょう。
● Intel社の製品シリーズ
Intelのデスクトップ向けCPUは、用途や価格帯に応じて複数のシリーズが展開されています。以下の表で各シリーズの特徴について解説します。
シリーズ名 主な用途 特徴 価格帯 性能レベル Core i9 ・ハイエンドゲーミング
・プロフェッショナルな動画編集
・3DCG制作・最大の処理性能
・多数のコア/スレッド
・大容量キャッシュ60000円〜 最上位 Core i7 ・ゲーミング
・動画編集
・マルチタスク処理・高い処理性能
・優れたマルチタスク性能
・ターボブースト機能搭載40000円〜 上位 Core i5 ・一般的なゲーム
・写真編集
・オフィス作業・バランスの取れた性能
・コストパフォーマンスに優れる
・一般用途に十分な性能25000円〜 中位 Core i3 ・Webブラウジング
・文書作成
・動画視聴・基本的な処理性能
・低消費電力
・コンパクトパソコン向け15000円〜 普及 Pentium ・基本的なパソコン作業
・メール
・Web閲覧・必要十分な基本性能
・安定動作
・コスト重視10000円〜 エントリー Celeron ・シンプルな作業
・ブラウジング
・オフィス作業・必要最小限の性能
・低価格
・省電力設計5000円〜 基本 IntelのCPUは世代が進むごとに処理性能が向上し、新しい機能が追加されることで進化を続けています。製品の型番には世代や性能を表す命名規則が採用されており、型番を見るだけである程度は製品の特徴を判断することが可能です。
同じシリーズ内でも、SKU(製品識別番号)によって性能や機能が細かく分かれており、より詳細な製品を選ぶことができます。また、型番の末尾にある「K」や「F」などの文字にも意味があり、例えば「K」付きモデルはオーバークロックに対応し、「F」付きモデルは内蔵グラフィックス機能が省略されているといった特徴があります。
● AMD社の製品シリーズ
AMDのデスクトップ向けCPUは、高性能と優れたコストパフォーマンスを特徴として幅広い製品展開を行っています。以下の表はAMDのCPUについて、各シリーズの特徴をまとめたものです。
シリーズ名 主な用途 特徴 価格帯 性能レベル Ryzen 9 ・ハイエンドゲーミング
・プロ向け動画編集
・3DCGレンダリング・最高クラスのマルチコア性能
・大容量キャッシュ
・最新のアーキテクチャ採用55000円〜 最上位 Ryzen 7 ・ゲーミング
・動画編集
・配信・高いマルチコア性能
・優れた電力効率
・コスパの良い高性能モデル35000円〜 上位 Ryzen 5 ・一般ゲーム
・軽度な動画編集
・マルチタスク・バランスの取れた性能
・手頃な価格
・実用十分な処理能力20000円〜 中位 Ryzen 3 ・日常的な作業
・オフィス作業
・Web閲覧・コストパフォーマンス重視
・基本的な性能を確保
・統合グラフィックス搭載12000円〜 普及 Athlon ・基本的なパソコン操作
・ブラウジング
・文書作成・エントリー向け
・必要最小限の性能
・低価格志向8000円〜 エントリー AMDのRyzenシリーズは、独自の特徴を持った製品展開を行っています。最新の製造プロセスと革新的なアーキテクチャを採用し、高い処理性能と優れた電力効率を実現。
型番は「Ryzen 7 7700X」のように、シリーズ名、世代、モデルナンバー、サフィックスで構成されており、製品の特徴を簡単に識別することができます。「X」付きモデルは高クロック版、「G」付きモデルは統合グラフィックス搭載モデルを表しています。また、最新世代では、高性能なオンボードグラフィックスを搭載したモデルも増えており、コストパフォーマンスの高いシステム構築が可能です。
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ノートパソコン向けCPU
ノートパソコンに搭載されるCPUは、限られた筐体サイズと電力供給という制約の中で最適な性能を発揮できるよう設計されています。デスクトップパソコン向けのCPUと比べてコンパクトで省電力な設計となっており、バッテリー駆動時の電力効率や発熱対策が重視されているのが特徴です。IntelやAMDはモバイル向けに特化した製品シリーズも展開しており、用途や価格帯に応じてさまざまな選択肢が用意されています。ここでは、モバイル向けCPUの特徴について見ていきましょう。
● モバイル向け製品の特徴
ノートパソコン向けCPUは、モバイル環境での使用を考慮した特別な設計がなされています。以下の表で主要な製品シリーズと、その特徴を解説します。
カテゴリー 主な製品例 特徴 主な用途 ハイパフォーマンス Intel Core Hシリーズ
AMD Ryzen H/HSシリーズ・デスクトップに近い処理性能
・比較的高い消費電力(45W以上)
・高性能冷却が必要
・大型ノートパソコン向け・ゲーミングノート
・クリエイター向けノート
・デスクトップ代替機スタンダード Intel Core Pシリーズ
AMD Ryzen U/HSシリーズ・バランスの取れた性能
・中程度の消費電力(28W前後)
・一般的な冷却で対応可能・一般向けノート
・ビジネスノート
・薄型ノート
・標準的な筐体に搭載超低電力 Intel Core Uシリーズ
AMD Ryzen Uシリーズ・省電力重視の設計
・低消費電力(15W以下)
・パッシブ冷却も可能
・コンパクト筐体に対応・モバイルノート
・2in1デバイス
・超軽量ノートモバイル向けプロセッサーは、ノートパソコンでの使用に特化したさまざまな最適化が施されています。バッテリー駆動時間を最大限確保するための高度な電力管理機能を搭載し、統合グラフィックス性能も大幅に強化。また、使用状況に応じて動的に周波数を制御することで、必要な時に必要な性能を発揮する効率的な設計となっています。
他にも、放熱設計に特別な工夫を凝らし、薄型化が進むノートパソコンに対応。さらに、Wi-FiやThunderboltといったモバイル環境で重要な機能を統合し、タッチパネル操作やペン入力にも最適化されています。これらの特徴により、持ち運びを前提としたノートパソコンでも、高い処理性能と優れた使い勝手を両立できるようになりました。
● 省電力設計について
ノートパソコン向けCPUには、バッテリー駆動時間の確保と発熱の抑制を両立するための省電力技術が実装されています。例えば、使用状況に応じて動作周波数やコア数を自動的に調整する「動的制御機能」や、アイドル状態の一部コアを停止させる「パワーゲーティング」などが代表的な機能です。また、最新の製造プロセスを採用することで、より微細な回路設計を実現し、消費電力の削減と高性能化を同時に達成。これらの技術により、長時間のバッテリー駆動と快適な性能を両立しています。
CPU以外のプロセッサーについて

CPUだけでなく、現代のコンピューターには特定の処理に特化したさまざまな専用プロセッサーが搭載されています。代表的なのが画像処理を担当するGPUですが、近年ではAI処理用のプロセッサーであるNPUや、画像・音声処理に特化したプロセッサーなども重要な役割を果たしています。ここでは、これらの専用プロセッサーの特徴や性能、活用方法について解説していきます。
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GPUの詳細
GPUは、主にグラフィックス処理を担当する専用プロセッサーです。3Dゲームや動画編集、CADなどの画像処理を高速に実行できる設計となっており、近年では機械学習や暗号通貨のマイニングなど、並列処理が必要な用途でも活用されています。主要メーカーのNVIDIAとAMDからさまざまな製品がリリースされているため、用途に応じてグラフィックス性能や消費電力などを考慮して最適な製品を選ぶことが大切です。
● GPU製品の比較
主要メーカーの製品ラインナップを、用途と性能ごとに分けて比較してみましょう。
グレード NVIDIA AMD 主な用途 価格帯 特徴 ハイエンド GeForce RTX 4090
GeForce RTX 4080Radeon RX 7900 XTX
Radeon RX 7900 XT・4K/8Kゲーミング
・プロ向け動画編集
・3DCG制作15万円〜 ・最高クラスの処理性能
・大容量メモリー搭載
・高い消費電力上位 GeForce RTX 4070 Ti
GeForce RTX 4070Radeon RX 7800 XT
Radeon RX 7700 XT・2K/4Kゲーミング
・動画編集
・3Dモデリング8〜15万円 ・高い処理性能
・電力効率の良さ
・コスパの良さ中位 GeForce RTX 4060 Ti
GeForce RTX 4060Radeon RX 7600
Radeon RX 7600 XT・フルHDゲーミング
・配信・写真編集4〜8万円 ・バランスの良さ・標準的な性能
・手頃な価格エントリー GeForce GTX 1660
GeForce GTX 1650Radeon RX 6500 XT
Radeon RX 6400・カジュアルゲーム
・動画視聴
・軽度な画像処理2〜4万円 ・基本的な性能
・低消費電力
・コンパクト設計GPUはメーカーによって異なる特徴を持っています。NVIDIAのGPUはRay Tracingやディープラーニングなどの先進的な技術に強みを持ち、AMDのGPUはコア数が多く、優れたコストパフォーマンスが特徴です。
両社とも世代を重ねるごとに電力効率を向上させており、メモリー性能や冷却設計も製品選びの重要な要素となっています。また、長期的な使用を考える上ではドライバーの安定性も重要な判断基準です。
● GPU性能の見方
GPUの性能は、搭載されているCUDAコア(NVIDIA)やStreamプロセッサ(AMD)の数、メモリー容量とその帯域幅、動作クロック周波数などの要素から評価することができます。特に3D性能に関してはコア数とメモリー帯域幅が大きく影響し、AIや機械学習処理では演算精度やTensorコアの性能が重要です。これらの指標を総合的に判断し、用途に適したGPUを選択しましょう。
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専用プロセッサーの活用
近年のコンピューターには、特定の処理に特化したさまざまな専用プロセッサーが搭載されていることが一般的です。代表的なものとしては、高速なAI処理を実行するNPU(Neural Processing Unit)や、画像・音声処理に特化したDSP(Digital Signal Processor)などがあります。これらの専用プロセッサーは、CPUと連携しながら効率的な処理を実現し、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスでも高度な処理を可能にしています。
● AI処理プロセッサー
NPUは、機械学習や深層学習の演算を効率的に実行するため、AI処理に特化して設計されたプロセッサーです。画像認識や音声認識、自然言語処理などのAI機能を高速に処理し、低消費電力で実行することができます。特にモバイル端末に搭載した時の恩恵が大きく、スマートフォンのカメラ機能や音声アシスタント、自動翻訳など、日常的に使用する多くのAI機能がNPUによって支えられています。
● 画像・音声処理プロセッサー
画像・音声処理プロセッサーであるDSPは、デジタル信号の高速処理を得意とする専用プロセッサーです。カメラの画像処理や音声のノイズ除去、音質調整など、リアルタイムの信号処理を行います。また、動画や音楽の圧縮・展開処理も担当し、高品質なマルチメディア体験をサポート。スマートフォンやデジタルカメラなど、多くのデジタル機器に搭載されています。
プロセッサーの選び方

CPUやGPUなどのプロセッサーは、パソコンの性能を左右する重要なパーツです。しかし、製品ラインアップが豊富なため、自分に最適な製品を選ぶのは簡単ではありません。ここでは、用途別の選定ポイントや予算に応じたおすすめの構成、将来性を見据えた選び方まで、プロセッサー選びに役立つ情報について解説します。
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用途別選定のポイント
どのプロセッサーを選べば良いかは、主にどのような用途で使用するかによって大きく変わってきます。一般的なオフィス作業やWebブラウジングであれば、必要以上に高性能な製品を選ぶ必要はありません。一方、動画編集やゲーミングなど、高い処理能力が求められる用途では、作業効率や体験品質に直結するため、用途に応じた適切な性能のプロセッサーを選ぶことが重要です。
予算との兼ね合いも考慮しつつ、自分の使用シーンに最適な製品を選択することで、コストパフォーマンスの高いシステムを構築することができるでしょう。ここでは、用途ごとにおすすめのスペックを紹介します。
● 一般作業向け
文書作成やWebブラウジング、メールの送受信、表計算などの一般的なオフィス作業であれば、中位クラスのプロセッサーでも十分な性能を得られるでしょう。Intel Core i5やAMD Ryzen 5クラスの製品が適しており、統合グラフィックス機能も搭載しているため、追加のGPUは必要ありません。消費電力や発熱も抑えられており、静かで快適な作業環境を構築するのに適しています。
● クリエイター向け
動画編集や3DCG制作、画像処理などのクリエイティブ作業では、高い処理性能が必要となります。Intel Core i7/i9やAMD Ryzen 7/9クラスの高性能CPUが推奨され、特に多数のコアとスレッドを活用できる製品が効果的です。また、用途によっては専用GPUを搭載したグラフィックボードとの併用も検討し、レンダリングやエフェクト処理の高速化を図ることをおすすめします。
● ゲーミング向け
ゲーミング用途では、CPUとGPU両方の性能が重要です。CPUはIntel Core i5/i7やAMD Ryzen 5/7以上のクラスが求められ、特に高いクロック周波数を持つモデルが適しています。また、グラフィックス性能も重要なため、内蔵GPUではなく用途に応じた性能を持つグラフィックボードはほぼ必須であると言えるでしょう。最新のゲームタイトルをプレイするのであれば、Ray Tracingなどの新技術への対応も考慮する必要があります。
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コスパを考慮した選び方
プロセッサーの選択では、単純な価格や性能だけでなく、コストパフォーマンスを考慮することも重要です。最新世代の最上位モデルは確かに高性能ですが、価格も高額になってしまいます。一方、一つ前の世代や、同じ世代でもグレードを下げて選ぶことで、性能をそれほど犠牲にすることなく大幅なコスト削減が可能です。
また、将来のアップグレードを見据えてマザーボードを選択すれば、長期的な視点でのコストパフォーマンスを高めることもできるでしょう。ここからは、具体的な予算別のおすすめ構成と、将来性を考慮したスペック選びについて解説していきます。
● 予算別おすすめ構成
予算に応じた最適なプロセッサーの選び方を、用途別に解説します。
プロセッサーを選ぶ際は、まず用途に応じた適切な予算配分を検討することが大切です。特にCPUとGPUはシステムの中核となるパーツであり、この2つの性能バランスが全体の使い勝手に大きく影響します。メモリーやストレージなど、他のパーツとの組み合わせについても慎重に検討しましょう。
また、将来的なアップグレードの可能性も視野に入れ、拡張性の高いパーツ構成を選ぶことも重要です。例えば、電源ユニットは少し余裕を持った容量を選ぶことで、将来の拡張にも対応することができ、長期的な活用が可能となります。
予算帯 CPU GPU 想定用途 特徴 ~5万円 Core i3/Ryzen 3 統合グラフィックス(内蔵GPU) ・一般的なオフィス作業
・Web閲覧
・動画視聴・基本的な性能を確保
・コストを抑えた構成
・静音性の高さ5〜10万円 Core i5/Ryzen 5 GeForce RTX 3060
Radeon RX 6600・一般的なゲーミング
・写真編集
・軽度な動画編集・バランスの取れた性能
・十分な処理能力
・コスパの良さ10〜15万円 Core i7/Ryzen 7
Radeon RX 7700GeForce RTX 4070 ・高度なゲーミング
・動画編集
・3Dモデリング・高い処理性能
・快適な作業環境
・将来性の確保15万円~ Core i9/Ryzen 9 GeForce RTX 4080/4090
Radeon RX 7900・プロ向け制作
・ハイエンドゲーム
・配信/エンコード・最高クラスの性能
・多様な用途に対応
・長期的な使用● 将来性を考慮したスペック
プロセッサーを選ぶ際は、現在の用途だけでなく、将来的な使用シーンも想定することが重要です。最新世代のCPUソケットを採用したマザーボードを選択しておけば、後々のCPUをアップグレードする余地が生まれます。また、電源ユニットは余裕を持った容量を選び、メモリースロットの空きを確保することで、将来的な拡張の可能性を残しておくことができるのでおすすめです。特にクリエイティブ作業やゲーミング用途では、要求される性能が年々高まる傾向にあるため、多少余裕のあるスペックを選択した方が良いでしょう。
まとめ
本記事では、CPUとプロセッサーの違いについて、基本的な概念から具体的な製品情報まで解説してきました。プロセッサーは広義の演算処理装置を指し、CPUはその代表的な種類の一つです。近年は、GPUやAI処理プロセッサーなど、特定用途に特化したさまざまなプロセッサーが登場し、それぞれが重要な役割を担っています。製品選びの際は、用途や予算に応じて適切な製品を選択し、将来性も考慮することで、より満足度の高いシステムを構築することができるでしょう。