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OLEDとは?有機ELの基礎知識

OLEDと有機ELは同じ技術を指す用語です。ゲーミングモニターで広く採用されており、優れた画質や高速応答性が特徴のOLED。仕組みやメリットを知ることで、モニター選びに役立てることができるでしょう。ここでは、OLED(有機EL)の基礎知識について詳しく解説していきます。
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有機ELの仕組みと特徴
有機ELは、電流を流すことで自発光する有機化合物を利用したディスプレイ技術です。各画素が自ら発光するため、バックライトを必要とせず、消灯することで完全な黒を表現できるのが特徴。バックライトが不要となったことにより薄型・軽量化が実現され、さらに柔軟な基板を使用することでフレキシブルディスプレイや折りたたみ型デバイスにも応用できるなど、デザインの自由度が高い点も魅力です。
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OLEDパネルのメリット
● コントラストが高い
OLEDパネルはバックライトを必要としない自発光型であり、各画素が独立して発光します。そのため、完全な黒を表示することが可能です。明るい部分と暗い部分のコントラストが極めて高く、メリハリのある映像表現が可能。深みのある黒と明るい白の表現力は、ゲームの臨場感を高め、より没入感のあるプレイ体験を得られるでしょう。
● 色の再現性が高い
OLEDパネルは、従来の液晶パネルよりも広い色域をカバーすることができます。多くのOLEDパネルは、DCI-P3色空間の90%以上をカバーしており、sRGB比で130%以上の広色域を実現しています。これにより、ゲームグラフィックスのディテールや微妙な色合いまで、リアルに再現することが可能です。鮮やかで自然な色彩表現が、ゲームの世界観をより豊かにしてくれるでしょう。
● 応答速度が速い
OLEDパネルの大きな強みの1つが、高速な応答速度です。多くのOLEDゲーミングモニターは、0.1ms以下の応答速度を実現しています。この高速応答により、動きの速いゲームでも残像感やぼやけが抑えられ、クリアな映像を楽しめるでしょう。FPSなどの対戦ゲームでは応答速度の速さが勝敗を分ける要因となることもあるため、OLEDパネルを選ぶことでゲームを有利に進められる可能性もあります。
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OLEDとLCDの違い
OLEDとLCD(液晶)の主な違いは、画素の発光方式にあります。LCDがバックライトを必要とするのに対し、OLEDは画素ごとに自発光するのが特徴。このためOLEDは完全な黒の表現が可能で、高コントラストを実現します。また、応答速度も速く、動きの速い映像でもブレや残像が少ない点も魅力です。一方で、LCDよりも焼き付きのリスクが高く、価格も高めという弱点もあるため、用途や予算に応じて選ぶ必要があるでしょう。
OLEDゲーミングモニターの選び方

OLEDゲーミングモニターを選ぶ際には、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。ここでは、解像度や画面サイズ、リフレッシュレート、応答速度など、ゲーミングモニターに求められる主要なスペックについて詳しく解説していきます。
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解像度と画面サイズ
OLEDゲーミングモニターの主な解像度は、フルHD(1920×1080)、WQHD(2560×1440)、4K(3840×2160)の3種類があります。高解像度になるほど精細な映像が楽しめる反面、GPUへの負荷も高くなるため、自分のパソコンのスペックとのバランスを考慮しなければなりません。画面サイズは、無理なく画面全体を一度に視認できる27インチ前後が人気です。あまり大き過ぎると画素密度が下がり、画質が粗く感じられるため、解像度とのバランスを考えて選びましょう。
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リフレッシュレートと応答速度
リフレッシュレートとは、1秒間に画面が更新される回数をHz(ヘルツ)で表したものです。高リフレッシュレートであるほど、よりスムーズな映像表示が可能。ゲーミングモニターでは144Hz以上の高リフレッシュレートモデルが主流となっています。一方、応答速度は画素の色が切り替わるのにかかる時間のことであり、ms(ミリ秒)の単位で表されます。低ければ低いほど残像感が少なく、快適なゲームプレイが楽しめます。OLEDパネルは応答速度が速いことが特徴で、1ms未満の製品が多いのが特徴です。
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輝度
輝度はモニター画面の明るさを示す指標で、cd/㎡(カンデラ毎平方メートル)で表されます。OLEDパネルは自発光型のため、高輝度を実現しやすいのが特徴です。特にHDR(ハイダイナミックレンジ)対応のOLEDゲーミングモニターでは、1,000cd/㎡以上の高輝度を誇る製品もあります。明るい環境でも鮮明な映像が楽しめるため、設置場所に合わせて適切な輝度のモデルを選ぶことが大切です。
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接続ポート
OLEDゲーミングモニターに必要な接続ポートは、主にDisplayPort、HDMI、USBの3種類があります。DisplayPortは、パソコンとの接続に用いられる高性能なデジタルインターフェースで、高解像度・高リフレッシュレートでの映像伝送が可能です。HDMIはゲーム機やAV機器との接続に使用されるケースが多く、HDMI 2.1対応のモニターでは、4K・120Hzの映像伝送が可能。USBポートは、マウスやキーボードなどの周辺機器との接続によく使われています。
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ゲーミング向け機能
OLEDゲーミングモニターには、ゲームプレイに特化したさまざまな機能が搭載されています。代表的なものとしては、可変リフレッシュレート技術であるAMD FreeSync™やNVIDIA G-SYNC®、ゲームジャンルに合わせて最適な画質設定を一括で行うゲームモード、照準の位置を表示するゲーミング照準機能などがあります。また、ブルーライトを低減し目の疲労を軽減するアイケア機能や、複数の映像ソースを同時に表示できるPIP(ピクチャー・イン・ピクチャー)/PBP(ピクチャー・バイ・ピクチャー)機能なども便利です。
焼き付き問題について知っておくべきこと
OLEDパネルは多くの利点を持つ一方で、焼き付きのリスクがあることは知っておくべき重要なポイントです。ここでは、OLEDパネル特有の課題である焼き付きについて詳しく解説すると共に、それを防ぐための対策法についても紹介します。
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焼き付きとは
焼き付きとは、長時間同じ画像を表示し続けることで、その画像の痕跡がパネルに残ってしまう現象のことを指します。OLEDパネルは各画素が自発光するため、同じ画素を長時間発光させ続けるとその画素の輝度が低下し、焼き付きが発生するので要注意。ゲームのHUDやメニュー画面、静止画などを長時間表示すると、その部分だけ輝度が低下し、他の部分との差が目立つようになります。焼き付きは一度発生すると完全に元に戻すことは難しいため予防が重要です。
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焼き付きのリスクを減らす方法
焼き付きのリスクを減らすためには、以下のような対策が有効です。
- 静止画を長時間表示しない:ゲームをプレイしていない時は、モニターの電源を切るか、スクリーンセーバーを使用する。
- 輝度を下げる:輝度を高くし過ぎると焼き付きのリスクが高まるため、必要以上に明るくしないようにする。
- ピクセルシフト機能を使う:一定時間ごとに画面を微動させ、同じ画素への負荷を分散させる機能。
- ピクセルリフレッシュ機能を使う:一定時間ごとに画面全体を白く点灯させ、輝度を均一化する機能。
OLEDゲーミングモニターの便利な機能

OLEDゲーミングモニターには、ゲームプレイを快適にするためのさまざまな機能が搭載されています。ここでは、OLEDゲーミングモニターの便利な機能の中でも特に注目したいHDR機能とゲームモードについて詳しく解説します。
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HDR機能
HDR(High Dynamic Range)は、画像や映像の明るい部分と暗い部分の階調を広げ、より自然で臨場感のある映像表現を可能にする技術です。OLEDパネルは高いコントラストと広い色域を持つため、HDR映像に最適です。HDR対応のOLEDゲーミングモニターでは、ゲームの明暗差が大きいシーンでも細部までくっきりと表示されます。例えば、暗い洞窟の中で光る松明の炎や、夕日に照らされた空の色合いなどをより鮮やかに再現できます。ただし、HDRの効果を十分に得るには、ゲーム側もHDRに対応している必要があるので注意しましょう。
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ゲームモード
ゲームモードは、ゲームジャンルやシーンに合わせて最適な画質設定を一括で行う機能です。一般的なゲームモードには、FPSモード、RTSモード、RPGモードなどがあります。FPSモードでは、応答速度を重視した設定になっており、敵の動きを素早く捉えられるようになります。RTSモードでは、色の再現性を高め、ユニットや地形の違いを認識しやすくします。RPGモードでは、鮮やかな色合いで臨場感を高めつつ、暗部の視認性も確保します。これらのモードを切り替えることで、ゲームの特性に合わせた最適な画質で、快適にプレイできるようになるでしょう。
有機ELゲーミングモニターの購入時の注意点
OLEDゲーミングモニターは、優れた画質と高性能を備えた魅力的な製品ですが、購入時には注意すべきポイントがいくつかあります。ここでは、OLEDゲーミングモニターを購入する際に特に注意したい価格面と保証・アフターサービスについて解説します。
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価格が高い
OLEDゲーミングモニターは、液晶ゲーミングモニターと比べると高価な傾向にあります。同じサイズ・解像度の製品で比較した場合、OLEDモデルは液晶モデルの1.5倍~2倍以上の価格になることが少なくありません。OLEDモデルは予算に余裕がある人にはおすすめですが、コスパを重視する人は慎重に検討する必要があります。
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保証とアフターサービス
OLEDゲーミングモニターは高価な製品であるため、保証とアフターサービスは重要な選択基準となります。メーカーによって保証期間や内容が異なるので、購入前に必ず確認しておきましょう。一般的には、1年以上の保証期間がついている製品が多いようです。修理や交換の受付体制が整っているメーカーの製品を選ぶことで、万が一の際も安心して利用できるでしょう。
まとめ
有機ELゲーミングモニターは、高コントラスト、広色域、高速応答という特徴を備えており、さまざまなジャンルのゲームを楽しむのに必要な性能を備えたディスプレイであると言えます。モニター選びの際は、解像度やリフレッシュレート、機能面での充実度をチェックするのはもちろん、焼き付きのリスクや価格、サポート面にも注意を払う必要があります。この記事で紹介したポイントを参考に、ぜひ自分のニーズに合ったOLEDゲーミングモニターを見つけてみて下さいね。