A doctor examines CT scans in her office while having a virtual visit with a hospital patient via a Lenovo ThinkPad
医療

院内ITインフラを変革

電子カルテ共有や遠隔医療など、病院のITインフラを変革するLenovoの医療レノボリューション。新病舎への移転を機に電子カルテシステムを一新し、業務効率の大幅な向上を実現した東京都大田区牧田総合病院の導入事例を紹介します。

 

患者と職員の安心のためにITシステムを強化

 

牧田総合病院のビジョンは「すべての人に安心を」。病気やけがの患者だけでなく、産婦人科や介護など病気ではない方、職員、そして地域の方々にも元気と安心を届ける医療を目指しています。このビジョンをさらに追求するため、2021年2月に大森から蒲田へと移転。同院の荒井好範理事長は、移転に込めた思いを次のように語ります。

 

「もともと当院は『東京で一番古い病院』と言われるほど老朽化が進んでいました。新病院への移転に当たり、病院が持つ『暗い・怖い』というイメージを払拭する、明るい内装の『病院らしくない病院』を目指しました」。

 

「すべての人に安心を」というビジョンは、新病院の建屋だけでなく、ITシステムにも反映されています。

 

「職員が安心して働ける環境がなければ、よい医療は提供できません。患者情報をいかにスムーズに共有するか、この点が課題でした」。課題解決のため、移転を機に電子カルテシステムのソフトウェアとハードウェアを刷新。使い勝手やコスト効率、拡張性に優れた仕組みを取り入れました。

 

信頼できる製品と柔軟なサービスでプラットフォームを構築

 

新電子カルテシステムのサーバープラットフォームとして採用されたのが、Lenovoが提供するHCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャ)製品「ThinkAgile HXシリーズ」です。同製品はLenovoのサーバーに、NutanixのHCIプラットフォーム「Nutanix Enterprise Cloud」を組み込んだHCIアプライアンス製品です。旧電子カルテシステムのインフラは、サーバー/SAN/ストレージの3層構造アーキテクチャに基づき構築されていましたが、その管理に掛かる工数やサーバー室の中で占めるスペース、空調費用、5年ごとに発生するリプレースなどの負担が重く圧し掛かっていました。これらをHCIに置き換えることでサーバー台数を大幅に削減し、管理工数や空調費用を圧縮。将来のシステム強化に向けた柔軟な拡張性も兼ね備えた統合プラットフォームを実現しました。

 

同院のITコンサルティングパートナーを務める総合メディカル株式会社の岡本直也氏に、ThinkAgile HXシリーズを採用した理由を聞きました。「最大の決め手は、今回導入するものと同じ電子カルテシステムを他の病院で稼働させた実績があった点です。また一般的にHCIは初期導入コストが高いというイメージでしたが、他社が提案する3階層アーキテクチャのインフラとさほど差がなく、コスト面でも魅力を感じました」。

 

さらに同院は、製品購入だけでなく、Lenovoが提供する「プロフェッショナルサービス」も採用しました。プロフェッショナルサービスは、システムを構築する企業に対して、Lenovoのコンサルタントやエンジニア、プロジェクトマネジャーなどがプロジェクトの支援に当たるサービスです。採用の意図について、同院システム管理部の畑政幸副部長に話を聞きました。「初めてHCIを導入するほか、旧電子カルテシステムも破棄せずに仮想マシンへ環境を移行させる必要があり、技術面でさまざまな困難が予想されました。そこで、既に他の病院でも同様のプロジェクトで豊富な実績を持つLenovoの知見をお借りできればと考え、プロフェッショナルサービスを利用することにしました」。

 

エンジニアとして本プロジェクトの支援に当たったのは、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ合同会社の岡田忠幸氏と宇賀神登氏。旧電子カルテシステムのベンダーから情報やサポートが得られない中、独自に検証環境を構築し、本番を想定した入念な検証作業を実施。見通しが立てづらいコロナ禍において、スケジュールを柔軟に調整しながら、Lenovoならではのワンストップソリューションで確実なシステム構築と移行を完遂しました。

さまざまな課題を一気に解決、将来にも備えられる

 

新病院開院と同時に新電子カルテシステムも稼働をスタートし、多くの職員がThinkPadを使ってシステムを利用しています。以前のPCではマシンの立ち上がりの遅さ、作業効率の悪さにストレスを感じていましたが、ThinkPadではサクサクと作業ができ、時間を有効活用できています。

 

またサーバープラットフォームを一新したことで、サーバー管理業務も大幅に効率化。これまでサーバー室内で行っていた管理作業の大半をリモートで対応できるようになりました。また電子カルテシステム以外の複数の部門システムをNutanixの仮想環境上に集約したことで物理サーバー台数が大幅に減り、ラックの数を約4分の1にまで削減。サーバー室のスペースや空調費用を削減でき、将来のシステム拡張に対しても備えは十分。基盤のデータベースもOracleからSQL Serverに刷新し、コスト削減を実現しました。

 

「これまではシステムを追加するたびに新たに物理サーバーを購入・設置する必要がありましたが、ThinkAgile HXシリーズを導入後は仮想環境上で新たに仮想マシンを作成するだけで済むようになり、コスト・時間ともに大幅に削減できました。将来新たなシステム要件が出てきた際にも迅速かつ低コストで対応できますし、まだ個別の物理サーバー上で動いているシステムも順次集約していき、さらなるコストメリットを追求していきたいと考えています」と畑氏は話します。

 

院内のICT化で、すべての人に安心と笑顔を

 

畑氏は、今回のプロジェクトにおいてLenovo製品はもちろんのこと、プロフェッショナルサービスが果たした役割についても高く評価。今後も難易度の高いプロジェクトを遂行する際には利用を検討したいと考えています。「もしLenovoのプロフェッショナルサービスを利用していなかったら、きっと旧電子カルテシステムの移設は成功していなかったでしょう。今後も他の部門システムを順次移設していくに当たって課題に突き当たると思いますので、手厚い支援をお願いできれば幸いです」。

 

病院が抱える課題やニーズを汲み取り、院内のIT担当者とパートナーシップを築きながら、最適なソリューションを提供する。それが、Lenovoの医療レノボリューションです。