目 次
BTOパソコンとは?
BTOとは「Build To Order」の略称で、注文を受けてからパソコンを組み立てる受注生産のことを言います。既成のパソコンは多くの人が使いやすいスペック・構成として販売されていますが、必要なスペックは人それぞれ異なるもの。CPUやメモリーなど、好きなパーツを組み合わせて、自分にぴったりのパソコンを手に入れられるのがBTOの魅力です。 なお、LenovoではBTO形式で製造・販売するパソコンをCTO「Configure To Order」と呼んでいます。CTOもBTOの一種なのですが、BTOが注文した仕様に基づいて生産するのに対し、CTOは既定の製品仕様をカスタマイズして注文できるといった違いがあります。
BTOパソコンのメリット
予算や目的に合わせ、自由にカスタマイズできるのが魅力のBTOパソコン。特定の作業に特化したパソコンを探している人や、既製品には無いような性能のパソコンを探している人におすすめです。ここでは、そんなBTOパソコンのメリットについて紹介します。
-
自分好みにカスタマイズが可能
「快適にゲームをプレイしたい」「画像や動画を編集したい」など、パソコンを使う目的によって必要なスペックは異なります。既に製品として販売されているパソコンは多くの人の標準的なニーズを満たすスペックとなっているため、人によってはスペック不足、またはオーバースペックとなる場合があります。BTOなら自由にアップグレードやダウングレードができるため、用途や予算に応じて最適なスペックのパソコンを手に入れることができます。
-
組み立てに要する
時間や手間がかからない自分好みのパソコンに仕上げたいのであれば自作の方が良いのではないかと考える人もいるかもしれません。たしかに自作であればパーツ選びから組み立てまで全てを自分で行うため、自分好みのパソコンに仕上げることができるでしょう。
しかし、パーツ選びにこだわりだすと、1つのパーツを手に入れるのに1ヶ月以上かかるようなケースもあります。また、パソコンに関する知識があるからと言って、実際にパソコンを組み立てる技術があるとは限りません。自作が趣味なら良いのですが、パソコンを使って何かやりたいことがあるのなら、パーツ選びや組み立ての手間がなく注文後すぐに手に入るBTOが便利です。
-
自作や完成品より価格が
安くなることがある「BTOは価格が高いのではないか」と考えている人もいるのではないでしょうか。結論としては、BTOは実店舗で販売されているパソコンや、自作パソコンよりも安く購入できることがあります。BTOは基本的に通販によるパソコン販売がメインです。そのため、店舗の維持費や人件費などのコストを抑え、パソコンの価格を安く抑えることができます。また、大手メーカーであれば一度に大量のパーツを注文するため、個人が自作用にパーツを購入する場合よりも製造コストが安くなるケースもあるのです。
-
相性問題などのリスクがない
パソコンのパーツには規格があり、規格に合ったパーツ同士でなければ互換性がありません。仮にパソコンを自作する場合は、使用するパーツを慎重に選ぶ必要があります。また、たとえ規格に合ったパーツを選んだとしても、パーツには相性の悪い組み合わせもあり、せっかく組み立てても全く動作しなかったり、動作したとしても本来の性能を発揮できなかったりといったケースもあります。BTOであれば事前にメーカーが互換性や相性問題についてチェックしており、もし購入後に問題が発生しても適切に対応してくれるので安心です。
-
余計なソフトが入っていない
製品として販売されているパソコンには、初めからさまざまなソフトがインストールされていることがあります。中には役に立つものもありますが、人によっては全く使わないようなものもあるでしょう。不要なソフトがパソコンにインストールされていると、CPUやメモリーなどの容量を圧迫されてしまい、パソコンの動作が重くなってしまう可能性も。BTOであれば基本的に不要なソフトがインストールされておらず、快適な動作を期待できます。
-
基本構成が用意されているため
初心者でも注文できるほとんどのBTOメーカーでは、あらかじめ基本構成が用意されています。その上でニーズに応じてカスタマイズしていくのですが、基本構成のままでも十分に使用可能な性能となっているはずです。カスタマイズするとしても用意された選択肢からパーツを選ぶだけなので、パーツ選びに大きく失敗するといったリスクもありません。パソコンに関する知識はあるに越したことはありませんが、メーカーによっては電話やチャットなどのサポート窓口が用意されていることもあります。BTOのパソコンが気になっている人は、まずは一度相談してみると良いでしょう。
BTOパソコンの注意点
魅力の多いBTOパソコンですが、購入前に知っておきたい注意点もいくつかあります。よく分からないまま注文して失敗することのないよう、ここで紹介する内容については留意しておきましょう。
-
自作ほど自由度が高くない
BTOはカスタマイズできる幅が製品ごとに決まっています。全てのパーツを好きなようにカスタマイズできるわけではないため、自由度は自作の方が高いと言えるでしょう。細かな配線やパーツのメーカーなど、細部にまでこだわりたい人にとっては物足りないと感じることもあるかもしれません。BTOでカスタマイズ可能な内容は、メーカーや本体のパソコンごとに異なります。希望するカスタマイズ内容が決まっている人は、カスタマイズの幅が広い製品を選びましょう。
-
こだわり過ぎると価格が高くなる
BTOパソコンの初期構成は、同じスペックの既製品と比べると価格が安いことがあります。 しかし、カスタマイズを繰り返していると価格が高くなってしまうことがあるため要注意です。「せっかくならもう少しスペックの高いパーツを選ぼう」とこだわり過ぎると、いつの間にか割高になっているかもしれません。まずはスペックによる価格差の大きいCPUやメモリーなどを決めてしまい、それから予算に応じてカスタマイズしていくのがポイントです。
-
出荷まで時間がかかることがある
BTOパソコンは注文を受けてからカスタマイズを行うため、既製品を購入する場合よりも到着までに日数を要します。メーカーによって納期は異なりますが、即日出荷されることはないと考えた方が良いでしょう。納期はメーカーの営業日にも左右されるので、Webサイトなどで注文から出荷までに大体どのくらい時間がかかるのかを確認しておくと安心です。
-
現物を見ずに注文することになる
家電量販店などで現物を見ながらパソコンを購入する場合と違って、BTOパソコンはWebサイトから注文するのが一般的です。そのため、サイズや微妙な色味、重さなどといった製品の基本情報を実際に見て確認することができません。メーカーによってはWebサイトで完成品に近いイメージ画像が掲載されており参考にすることはできますが、初めてBTOでパソコンを注文する人の中には少し不安に感じる人もいるかもしれません。
-
カスタマイズの内容によっては知識が必要
BTOパソコンは自作と違い、ゼロから自分でパーツを選ぶ必要がありません。基本構成ごとに用意された選択肢の中から希望するパーツを選ぶだけなので、初心者でも購入することができます。
しかし、最適なパーツを選ぶためにはある程度の知識が必要です。BTOでパソコンを購入しようという人はゲームや動画編集など、パソコンを使って何かやりたいことがあるという人がほとんどでしょう。スペック不足や過剰スペックを避けるためにも、目的に合った使い方をするためにはどの程度のスペックを選ぶべきかといった知識は必要です。
BTOパソコンを購入する前に決めること
スタマイズに使える予算はいくらなのか、またどの程度のスペックを目指せば良いのかが曖昧なままでは、カスタマイズで詳細なスペックを決めるのは困難です。カスタマイズを始める前に、まずはパソコンの用途や形状、必要な周辺機器について確認しておきましょう。
-
パソコンをどんな用途に使うか
BTOパソコンはパーツをカスタマイズすることで、自由にスペックを決めることができるのが魅力です。しかし、パソコンの用途が決まっていなければ、どの程度のスペックが必要なのかを判断することができません。Webサイトの閲覧や簡易な事務作業程度であれば、エントリーモデルからミドルレンジモデルのスペックで十分です。一方、3Dゲームや動画編集をしたい場合はハイエンドモデルのパソコンが必要となることもあります。用途によって最適なパソコンやスペックは異なるため、まずは用途を決めましょう。
-
ノートかデスクトップか
BTOに限らずパソコンを選ぶ際は、まずノート型にするかデスクトップ型にするかを決めましょう。ノート型の魅力は持ち運んで使用できるという点。ノート型は購入後にスペック不足を感じても、後からパーツの交換や追加が難しいため、購入時は慎重にスペックを選ぶ必要があります。
一方、デスクトップ型の魅力は性能や耐久性がノート型より高く、コスパが良いという点です。ノート型と比べると排熱性も高いため、負荷のかかる使い方をする予定で、かつパソコンを使うのが自宅のみであるという場合はデスクトップ型をおすすめします。
-
予算や必要な周辺機器の確認
ノート型の場合は本体にモニターやキーボード、カメラなどの機能が一通り備わっています。そのため、購入後すぐにパソコンを使い始めることができますが、デスクトップ型の場合は別途周辺機器が必要です。周辺機器の購入にもコストはかかるので、カスタマイズする際は本体以外にどのような周辺機器が必要か事前に想定しておきましょう。
BTOパソコンのおすすめカスタマイズポイント
BTOでカスタマイズをシミュレーションしていると、ついあれもこれもと高性能なパーツを選びたくなってしまいますよね。特にCPUやメモリーはアップグレードすると金額も高くなりがちなので、予算内に収めるためには必要な項目を絞ってカスタマイズすることが大切です。ここでは、BTOパソコンのおすすめカスタマイズポイントについて紹介します。
-
ケースの形状とサイズ
ひとくちにデスクトップパソコンと言っても、ケースの形状によっていくつかのタイプに分けられます。ミドルタワー、ミニタワー、キューブ型、コンパクト型などさまざまなタイプがあり、何を重視したいのかによって最適なタイプは異なります。特に大きさにこだわりが無い場合はコスパや拡張性の高いタワー型がおすすめ。後から必要に応じてアップグレードしやすいといった特徴があります。もし広い設置スペースを用意できないというような場合は、キューブ型やコンパクト型を選ぶと良いでしょう。
-
OSは Windows か MacOS か
OSとはパソコン全体の動作を管理するソフトウエアのことで、パソコンを使うなら必ずインストールする必要があります。主なOSには Windows や macOS などがありますが、特にこだわりがないのであれば、普及率の高い Windows がおすすめ。Windows はProやHpmeなど複数のエディションが用意されていますが、個人用パソコンであればHomeで問題ないでしょう。
-
CPUは他のパーツとの
バランスも考慮するCPUはパソコン全体の処理能力に影響するパーツです。主なCPUはIntel製とAMD製の2種類があり、IntelのCore iシリーズやAMDのRyzenシリーズが人気です。CPUの性能が高ければパソコンの処理能力は向上するのですが、カスタマイズでCPUを選ぶ際は他のパーツとのバランスが重要です。
もしCPUのスペックに対して他のパーツのスペックが低過ぎると、CPUは本来の高い性能を十分に発揮することができません。逆に、他のパーツのスペックに対してCPUのスペックが低過ぎてもボトルネックで性能が制限されてしまうことがあります。
-
ゲーミング用途ならGPUも重要
GPUとは、パソコンでグラフィックを処理するために必要な演算用のプロセッサです。一般的なパソコンではCPUとGPUが一体型となっているケースがほとんど。簡易なグラフィック処理であれば一体型のGPUで事足りるのですが、3D映像が多用されているゲームをプレイする場合や、動画や画像などを編集したい場合は一体型のGPUではスペック不足となることがあります。
そこで必要となるのがグラフィックボード。代表的なグラフィックボードにはNVIDIA社の「GeForceシリーズ」やAMD社の「Radeonシリーズ」などがあり、「RTX 4070 Ti」のように製品名から種類やグレードなど、ある程度のスペックを読み取ることができます。
-
メモリーは16GB以上を推奨
メモリーはパソコンがデータ処理を行う際に、データを一時的に記憶するためのパーツ。メモリー容量の大きさはパソコンの処理速度に影響し、容量が大きければ複数の処理や重い処理でもサクサクと実行することができます。メモリーはカスタマイズで金額に影響しやすいパーツの一つなので、自分に必要な容量がどの程度なのかを見極めることが大切です。容量が大き過ぎると過剰スペックとなってしまいますが、逆に小さ過ぎると処理が重くなってしまうので悩ましいところ。用途によっては8GBでも十分ですが、できれば16GB以上あると安心です。
-
ストレージ
ストレージはデータを保存しておくためのパーツです。SSDとHDDの2種類があり、SSDは価格が高いものの読み込み・書き込み速度が高速で、HDDは比較的安価で大容量のモデルが多いといった特徴があります。主流なのはSSDで、OSなどのシステムをインストールする際はSSDを選ぶことが一般的です。容量の大きなSSDはその分価格も高いのですが、以前と比べると最近は大容量SSDであっても大分手の届きやすい価格となってきました。パソコンのモデルによっては、SSDとHDDを両方搭載できるデュアルストレージといった構成にカスタマイズすることも可能です。
-
電源
BTOでは電源ユニットをカスタマイズできることがあります。電源ユニットの役割は、コンセントから供給される電力を各パーツが使える状態に変換して供給すること。変換する際に生じるロスを減らし、変換効率を高めるためには消費電力の約2倍の容量を持つ電源ユニットを選ぶのが良いとされています。
電源ユニットの性能を表す規格として「80PLUS認証」というものがあり、この認証を取得している電源を選べばパーツの故障リスクを低減することができます。BTOにおいては基本構成に適切な電源ユニットが構成されているはずなので、わざわざ電源ユニットをカスタマイズする必要性は低いかもしれませんが、もし変更する場合は認証の有無を確認してみましょう。
-
付属ソフト
BTOでパソコンを注文する時には、同時にMicrosoft Officeやウイルス対策ソフトなどを購入することで割引が適用されることがあります。もし仕事で使うパソコンを探している場合はMicrosoft Officeは必須でしょう。もちろん後からソフトだけ購入することもできますが、インストールの手間や割引を受けられることも考えると、パソコンと同時に購入しても良いかもしれません。
BTOのメーカーやショップを選ぶ時のポイント
BTOに興味はあるけれど、どのショップやメーカーで注文すれば良いか決められないという人もいるかもしれません。そんな時は次のポイントをチェックしてみましょう。
-
価格
BTOパソコンの価格はパソコン本体やパーツの性能だけでなく、メーカーによっても異なります。同じスペックのパソコンであってもカスタマイズ後の価格に差があることもあるため、少しでも安いパソコンが欲しいという人は複数のBTOメーカーでカスタマイズのシミュレーションをしてみると良いでしょう。大まかな傾向としては、中小規模のメーカーよりも大手メーカーの方が価格が安いことが多いようです。
-
カスタマイズ内容の充実度
BTOでカスタマイズできる項目や、選べるパーツの種類はメーカーによって異なります。同じBTOでも一からパーツを指定するものもあれば、提示された選択肢の中から好きなパーツを選ぶだけといったものまでさまざまです。柔軟にカスタマイズできる自由度の高いBTOは、自分好みのパソコンに仕上げやすいといったメリットもあります。しかし一方で、選択肢の広さはそれだけ必要な知識も多く、玄人向けとも言えます。選択肢が限られているからと言ってパソコンのスペックが低いわけではないため、自分が安心してカスタマイズできるメーカーを選びましょう。
-
ランキングサイトの
レビューや評判も参考にインターネット上にはBTOメーカーの特徴などをまとめたWebサイトも存在します。メーカーごとの特徴や概要を知ることができるため、まだどのメーカーにするか迷っている人は参考にすると良いかもしれません。ただし、BTOは人それぞれパソコンに求めているスペックが異なるため、満足度も人によるばらつきが生じやすいジャンルです。まとめサイトの口コミや評判全てを鵜呑みにせず、参考程度にとどめるのが良いでしょう。
まとめ
パソコンに求めるスペックは人それぞれ。用途によって最適なスペックは異なるため、市販のパソコンでは過剰スペックやスペック不足となることもあるでしょう。そんな時、BTOパソコンであれば好きなスペックのパーツを自由に選んで注文できるため、予算に応じてコスパの高いパソコンを手に入れることが可能です。カスタマイズの内容によっては金額が高くなってしまうこともあるため、まずは用途を決め、自分に必要なスペックを把握するところから始めましょう。