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GPUメモリの基本から解説
GPUメモリはVRAM(ブイラム)またはビデオメモリとも呼ばれる、パソコンの映像処理に特化したメモリのことです。パソコンで再生した動画やゲームの映像、プロの映像編集などで、GPUメモリの性能が大きな影響を与えています。GPUメモリを基本から詳しく解説します。
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GPUメモリ(VRAM)とは
グラボ専用メモリのことGPUメモリとはグラフィックボード(グラボ)に搭載されている映像処理専用のメモリのことで、VRAM(ブイラム)やビデオメモリともいいます。パソコンで映像の処理を専門的に担当している、GPUというプロセッサーのためにGPUメモリは特化しています。普通のメモリと異なり、GPUメモリは高速に映像データへアクセスできるよう設計されていて、効率的に映像処理を行えるようになっています。
GPUメモリの容量が豊富であればあるほど、より複雑で高品質な映像をスムーズに処理することが可能になります。特にゲームや映像編集など、映像の品質を重視するときは、GPUメモリの容量や性能が重要になるのです。
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メインメモリとGPUメモリの違い
パソコンにはメインメモリがあり、それとは別にグラボに搭載されているGPUメモリがあります。それぞれ役割は異なっていて、メインメモリは一般的にRAMまたは単にメモリと呼ばれ、パソコンのCPUが使用するメモリです。メインメモリはパソコンが実行中のプログラムやデータを一時的に保管し、高速にアクセスするために使われます。
GPUメモリは映像処理を担当するGPU専用のメモリです。グラボに搭載されていて、映像処理のためだけに使用されます。映像に特化したメモリのため、GPUメモリがあることでGPUは映像処理を高速に行え、ゲームや動画編集などの映像を扱う作業を効率よく行えるのです
それぞれのメモリが独立しているため、CPUやGPUは効率的に処理をすることが可能になっています。
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GPUメモリには複数の規格がある
GPUメモリには、さまざまな規格があり、それぞれ性能が異なります。GPUメモリの規格の違いによってデータの転送速度が変わり、GPUの性能に影響を与えます。
GPUメモリの主な規格は次のとおりです。現行で使用されているグラボであれば、ほぼこれらのいずれかが使用されています。
- GDDR6X
- GDDR6
- GDDR5X
- GDDR5
数字が大きいほど新しい規格であり、性能も向上しています。たとえば、GDDR6はGDDR5に比べてデータの転送速度が速いため、高解像度の映像の処理をスムーズに行えます。同じ名称のGPUメモリでもXがついているもののほうが高性能です。また、HBMという規格のGPUメモリもありますが、価格の高さなどがネックになってあまり普及していません。
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GPUメモリのメリット
GPUメモリは映像処理のためのメモリです。映像処理を効率的に進めるためには、このGPUメモリを欠かすことはできません。特に3Dグラフィック、高画質動画などは、映像データが大きすぎて、効率的に処理するためには、専用のメモリが必要になるのです。GPUメモリがあることで、パソコンは効率よく映像処理を行えます。
ゲームや映像編集、CADなど、高度な映像処理の能力を求められる用途では、GPUメモリが豊富にあると、高品質な映像をスムーズに表示し、リアルタイムでの処理を可能にします。これは映像処理に特化したメモリが、必要なデータをスピーディにGPUへ転送できるためです。
GPUメモリがあることで、パソコンの映像処理能力の大幅な向上を実現しています。
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GPUメモリが不足したときの症状
GPUメモリの容量が不足すると、ゲームや動画編集のときの映像処理の速度が低下します。動きがカクカクとぎこちなくなり、なめらかに動かなくなるのです。いまあるGPUメモリで対処しようとするため、表示される色の数が減る、映像が粗くなるといったことも起こります。高画質の動画や複雑な3Dグラフィックを扱うときに、GPUメモリが不足してこういった現象があらわれることがあります。
パソコン全体のパフォーマンスへも、GPUメモリの不足が影響することがあるため注意が必要です。GPUメモリが不足するとメインメモリを使用するようになるため、結果としてほかのソフトへも影響が生じてしまうのです。
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GPUメモリの容量、使用量を確認する方法
GPUメモリの容量や使用量を確認するには、Windowsのタスクマネージャーを起動します。タスクマネージャーで、GPUメモリの容量と現在の使用量を確認できます。Windows11では、次の手順で確認できます。
1.スタートボタンを右クリックする
2.表示されたメニューの「タスクマネージャー」をクリックする
3.「パフォーマンス」タブをクリックする
4.左メニューの「GPU」をクリックする左下にある「GPUメモリ」を見ると、搭載しているGPUメモリの容量と、現在使用しているデータ量が表示されています。これにより、GPUメモリがどの程度使用されているか、また空いているかがひと目でわかります。
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GPUメモリを増設することは可能?
GPUメモリが不足していたとしても、メインメモリのように増設することはできません。GPUメモリはグラフィックボードに搭載されており、基本的にオンボードで直づけされています。つまりユーザーが自分で増設したり、交換したりはできないのです。もしGPUメモリの容量を増やしたいのであれば、よりGPUメモリの容量が多いグラフィックカードに交換する必要があります。
ちなみに、多くのグラフィックボードでは、GPUメモリの容量の異なるラインナップを用意していません。基本的に、GeForce RTX 4090であれば24GB、GeForce RTX 4070であれば12GBというように、GPUメモリの容量が決まっています。
GPUメモリが不足したときの対処方法
GPUメモリを物理的に増設することはできませんが、いくつかの方法でパフォーマンスを最適化し、不足を感じる症状を軽減することは可能です。GPUメモリが不足しているときに試せる、いくつかの実用的な対処方法を紹介します。
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負荷がかかっているソフトを終了する
GPUメモリが不足していると感じたときは、大きな負荷がかかっているソフトを終了させましょう。とはいえ、動画編集をしているとき、動画編集ソフトを終了させては意味がありません。メインで使用しているソフト以外に、GPUに負荷をかけているソフトを見つけましょう。
1.スタートボタンを右クリックする
2.表示されたメニューの「タスクマネージャー」をクリックする
3.「プロセス」にある「名前」を右クリックして「GPU」にチェックを入れるメインで使用しているソフト以外にGPUの使用率が高いソフトがあれば、終了させることでGPUへの負荷を軽減できます。
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ゲームのグラフィック設定を変更する
GPUメモリの不足を感じるのは、ゲームで遊んでいるときが多いかも知れません。ゲームのグラフィックの設定を高めるとそれだけ映像が美しくなるものの、GPUの性能が不足していると処理が追いつかず、動きがカクカクとぎこちなくなってしまいます。ゲームのグラフィック設定の変更を試してみましょう。
ゲームのグラフィック設定には、解像度、テクスチャの品質、影の詳細度、アンチエイリアシングなど、さまざまな項目があります。これらの設定を下げることで、GPUメモリの使用量を減らし、パフォーマンスを向上させることが可能です。
多くのゲームでは、自動で最適なグラフィック設定にする機能があります。この機能を利用すると、パソコンのスペックに合わせて、最適な設定が自動的で適用されます。
グラボを基本からおさらい
グラフィックボード(グラボ)は、パソコンの映像処理を担う重要なパーツです。しかし、多くの人にとって、グラボの役割や機能はわかりにくいかもしれません。グラボがパソコンでどのような働きをしているのか、基本からわかりやすく解説します。
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グラボの役割とは
映像処理専門のプロセッサーのGPUと、同じく映像処理専門のGPUメモリを搭載した拡張ボードのことをグラフィックボード(グラボ)といいます。グラボが画像や動画、3Dグラフィックなどの映像処理を効率的に行うことで、高品質な映像をスムーズに表示できるようになるのです。
グラボの性能は搭載するGPUとGPUメモリの容量に左右され、一般的なものなら2~3万円ですが高性能なものになると数十万円もします。しかし、性能差は何倍にもなり、映像処理が重要な用途では、高性能なグラボを欠かせません。
どのグラボを選ぶべきなのかは用途によって異なりますが、ゲームや動画編集、3Dモデリング、CADなどの分野では高性能のグラボが求められています。
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CPUとGPUの違い
CPUとGPUはパソコンで異なる役割を担っています。CPUはパソコンの中心となるプロセッサーで、さまざまなプログラムの処理やデータの管理などを担っています。一方でGPUは主に映像処理を専門的に行うプロセッサーで、映像に関連する処理に特化しているのです。
CPUは多くの命令を順番に高速で処理する能力に優れています。それに対してGPUは多くのデータを同時に並列で処理する能力に優れています。映像処理ではこの並列処理の能力が重要になるのです。
CPUとGPUはそれぞれ異なる処理能力を持っており、お互いを補完し合うことで効率よくパソコンを動作させています。
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ほとんどの用途はCPU内蔵GPUで十分
いま使用されているパソコンの多くは、グラボを搭載していません。実はCPUにGPUが内蔵しており、基本的な映像処理であればCPU内蔵GPUでまかなえるのです。
書類作成やWebサイトの閲覧、配信動画の視聴などであれば、グラボのような専門的なパーツではなく、CPU内蔵GPUで十分対応できています。そのため、ほとんどの用途でグラボは必要ないのです。
しかし、ゲームや高画質の動画編集など、性能の高いGPUが必要となったときは、グラボが必要になります。必要な人にとって重要なパーツが、グラボなのです。
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CPU内蔵GPUのメモリはどこにある?
CPU内蔵GPUは、メモリを搭載していません。つまり、GPUメモリがないのです。そのため内蔵GPUは、メインメモリの一部をGPUメモリの代わりとして使用しています。
メインメモリを利用するメリットは、追加のハードウェアが必要ないためコストとパソコン内のスペースを節約できることです。特にサイズのコンパクトなノートブックやデスクトップパソコンではこの方法が採用されています。
しかし、メインメモリをGPUにも利用するため、搭載しているメモリ容量が少ないとパソコンのパフォーマンスに影響を与えるおそれがあります。
主要なグラボのGPUメモリの容量、規格、性能を紹介
いま主要なGPUのメーカーにはNVIDIA、AMD、Intelの3社があります。それぞれさまざまな特徴があるため、選ぶときに悩む人も多いでしょう。各GPUメーカーの主要なグラボを表にまとめましたので、パソコンを購入するときの参考にしてください。 各グラボの性能は、ベンチマークサイトのPassMarkのスコアで示しています。
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NVIDIA 主要グラボ一覧表
世界トップシェアを誇るGPUメーカーがNVIDIAです。GPUはAI開発にも欠かせないため、今後も大きく発展していくと見られています。また、NVIDIAのグラボはゲームユーザーからの評価が高く、新製品は常に注目を集めています。
高性能モデルばかりでなく、コストパフォーマンスに優れたモデルも多くリリースしているため、ゲーミングPCに興味ある人はエントリーグレードもチェックしてみましょう。
GPU GPUメモリの規格 GPUメモリの容量 PassMark GeForce RTX 4090 GDDR6X 24GB 38880 GeForce RTX 4070 Ti GDDR6X 12GB 31700 GeForce RTX 3080 GDDR6X 10GB 25357 GeForce RTX 4060 Ti GDDR6 8GB 22541 GeForce RTX 3060 Ti GDDR6 8GB 20600 GeForce GTX 1070 Ti GDDR5 8GB 14716 GeForce GTX 1660 GDDR5 6GB 11711 -
AMD 主要グラボ一覧表
CPUメーカーとしても知られるAMDは、GPUも数多くリリースしています。NVIDIAの対抗企業として知られており、コストパフォーマンスに優れていると評価されています。NVIDIAのグラボを採用しているパソコンが多いのですが、高いパフォーマンスを発揮する製品も多いため、AMDのグラボもチェックしておくことをおすすめします。
GPU GPUメモリの規格 GPUメモリの容量 PassMark Radeon RX 7900 XTX GDDR6 24GB 31103 Radeon RX 6950 XT GDDR6 16GB 28486 Radeon RX 6800 GDDR6 16GB 22298 Radeon RX 6700 GDDR6 10GB 18745 Radeon RX 7600 GDDR6 8GB 16076 Radeon RX 5600 GDDR6 6GB 11507 Radeon RX 5500 XT GDDR6 4GB 9181 -
Intel 主要グラボ一覧表
世界でトップシェアを誇るCPUメーカーのIntelは、最後発でGPU市場に参入しました。まだ参入したばかりで、GPUメーカーとしての評価はまだ得られていない状態です。しかし、コストパフォーマンスに優れるGPUを次々とリリースしており、これからの動向が注目されています。
GPU GPUメモリの規格 GPUメモリの容量 PassMark Intel Arc A580 GDDR6 8GB 11605 Intel Arc A770 GDDR6 16GB 9619 Intel Arc A750 GDDR6 8GB 9117 Intel Arc A380 GDDR6 6GB 4789 Intel Arc A310 GDDR6 4GB 4722
グラボを選ぶときのポイント
グラボは高価なパーツなため、慎重に選ぶ必要があります。グラボを選ぶときは、どのような点に注意すればよいのでしょうか。グラボを選ぶときにチェックしておきたいポイントを紹介します。
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用途に合ったグラボを見つける
グラボを選ぶときは、自分の用途に合った製品を選ぶことが大切です。高性能なグラボは魅力的ですが、それだけの性能が本当に必要かどうかはよく検討しましょう。特に高性能なグラボは10万円をはるかに超えるため、使いこなせなければ無駄な出費になってしまいます。逆に価格を重視するあまり、性能不足のグラボを選ぶとパフォーマンスに不満を感じるかもしれません。
ゲームであればどれほどの処理能力が必要か、よく考えましょう。フルHDで楽しむのであれば、いまはそれほど高性能なグラボでなくても楽しめます。しかし、4Kの高解像度でゲームを遊ぶなら、最高性能のグラボが必要になるでしょう。
用途に合うグラボを慎重に検討してください。
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GPUメモリはあまり気にしない
グラボを選びではGPUメモリの容量に焦点を当てて、慎重に検討する必要はありません。多くの場合、グラボのGPUメモリの容量は製品ごとに決まっていて、選択の余地が限られています。重要なのは、メモリの容量よりグラボ全体の性能です。
GPUメモリの容量が大きいということは、多くのデータを一時的に保管できるということです。しかしこれが、全体のパフォーマンスに直結するとは限りません。
グラボの性能を判断するときは、ベンチマークのスコアやユーザーレビューなど、さまざまな評価を参考にすることが大切です。
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最終的に性能と価格のバランスで選ぶ
最終的にグラボを決めるポイントは、性能と価格のバランスです。少しでも描画能力を高めたい、eスポーツの競技者であれば価格を気にせず最高性能のグラボを購入するという選択もあるでしょう。しかし、そこまで高性能なグラボは、一般的なゲームユーザーには必要ありません。おそらく、3~4万円のグラボで十分に満足できるはずです。
ただし、価格を気にしすぎるあまり、性能不足のグラボを選んでは意味がありません。まず、自分がパソコンで行う主な作業やゲームの種類を考え、必要なグラフィック性能を明確にしましょう。そして、予算の範囲内で選べる、もっともパフォーマンスの高いグラボを選んでください。
グラボ搭載パソコンならLenovoがおすすめ
Lenovoの通販サイトでは、グラボを搭載したさまざまなパソコンを販売しています。ラインナップが豊富なので、求めるグラボを搭載しているパソコンを見つけられるでしょう。コストパフォーマンスに優れたパソコンやハイスペックなパソコンまで、何台も比較して理想のパソコンを見つけてください。
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Lenovo LOQ 16IRH8
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Lenovo Legion Slim 5i Gen 8 16型
Lenovo Legion Slim 5i Gen 8 16型
Lenovo Legion Slim 5i Gen 8は、スリムなボディに高いパフォーマンスを凝縮した16型のゲーミングノートブックです。ゲームやクリエイティブな作業に最適な一台です。
選択できるGPUは次のとおりです。
メーカー GPU GPUメモリの規格 GPUメモリの容量 PassMark NVIDIA GeForce RTX 4070 Laptop GPU GDDR6 8GB 19511 NVIDIA GeForce RTX 4060 Laptop GPU GDDR6 8GB 18008 NVIDIA GeForce RTX 4050 Laptop GPU GDDR6 6GB 14742 NVIDIA GeForce RTX 3050 Laptop GPU GDDR6 6GB 9409 -
ThinkPad P16v