目 次
バッテリーの駆動時間は8時間以上のモデルがおすすめ
電源を使用できない外出先でノートパソコンを使う機会が多い人は、バッテリーの駆動時間が長いモデルを選ぶと安心です。駆動時間はパソコンの使い方によっても変わってきますが、公称値で8時間以上とされているモデルを選ぶのがおすすめ。10時間以上駆動できるモデルなら、一日中バッテリーを気にすることなく使用することができるでしょう。ただし、バッテリーは消耗品のため、使っていくうちに駆動時間が短くなっていくという点には留意しておきましょう。
バッテリーの駆動時間を表す指標「JEITA測定法」とは?
バッテリーの駆動時間はパソコンをどのように使うかによっても変わってきます。負荷の高い処理を行えば多くの電力を消費するため駆動時間は短くなりますし、逆に負荷の軽い使い方なら長時間のバッテリー駆動が可能です。各メーカーが提示している駆動時間は「JEITA測定法」に基づいて算出されていますが、これが何なのか解説していきます。
-
JEITA測定法により異なる
メーカーの製品でも比較が可能に「JEITA測定法」とは、バッテリーの駆動時間を表す指標の一つです。以前は駆動時間を測定する基準が各メーカーごとにバラバラだったため、仮に同じ性能のバッテリーを搭載していたとしても測定方法によって表示される駆動時間に大きな差が生じることがありました。これでは異なるメーカー間のパソコン同士で公平な比較ができないということで、2001年にJEITA測定法1.0が策定されました。JEITA測定法ではバッテリーの駆動時間をどのように測定するのかが定められており、異なるメーカー間のパソコンを比較することが可能となりました。
-
2014年からは
JEITA測定法2.0が適用された2001年にJEITA測定法1.0が策定されたことにより異なるメーカー間のパソコンを比較できるようになりました。しかし、策定から13年が経過する頃にはVer.1.0の課題も段々と浮き彫りになってきます。具体的には、策定当時と比べてパソコンの性能が全体的に向上したため、実際にユーザーがパソコンを使用した場合の駆動時間と公称値との乖離が大き過ぎるといった点が問題になりました。
この問題を解決すべく2014年には13年ぶりとなる基準の改訂が行われ、JEITA測定法2.0が適用。ただし、Ver.2.0も2024年時点では既に改訂から10年が経過しており、Ver.2.0で算出された公称値の5~7割程度が実際の駆動時間であると考えて良いでしょう。
-
2024年からは
JEITA測定法3.0に移行しつつある2023年にはJEITA測定法3.0が公開され、2024年からはJEITA測定法3.0に移行しつつあります。Ver.2.0と比べてVer.3.0では、より実際の駆動時間と公称値が近づいたとされています。
具体的にどのような点が改善されたのかというと、バッテリーの駆動時間を測定する時に再生する動画の解像度や画面の輝度を上げ、よりパソコンに高い負荷がかかるようになりました。また、Ver.2.0では動画再生時とアイドル時の平均値をスコア化していましたが、Ver.3.0ではそれぞれを併記するよう改訂されています。これによってより現実に即した駆動時間を算出できるようになりました。2024年以降に登場したパソコンであれば、公称値が12時間以上のモデルを選べば安心です。
バッテリーが劣化した時の症例
新品の状態なら長時間のバッテリー駆動が可能でも、時間の経過と共にバッテリーの劣化は進み、充電できる電力量も減少していきます。次のような症状が出る場合はバッテリーの交換時期が近いのかもしれません。
-
バッテリー残量がすぐになくなる
バッテリーは劣化すると充電できる最大容量が減っていきます。そのため、表示上は100%まで充電できているように見えても、実際に蓄えることができる電力量は新品の状態と比べると少なくなっている可能性があります。すぐに充電が切れてしまうと感じるのであれば、バッテリーが消耗しているのかもしれません。
-
パソコンの動作が不安定になる
パソコンを正常に使用するためには安定した電力の供給が必要です。劣化したバッテリーを使っているとパソコンの動作が不安定になってしまうことがあります。突然シャットダウンしてしまったり、何もしていないのに再起動を繰り返したりする場合はバッテリーが劣化している可能性があります。
-
充電しながら
でなければ使用できなくなるバッテリーが劣化するとバッテリーによる駆動ができず、常時電源に接続した状態でなければパソコンを使えなくなってしまうことがあります。また、起動した状態であればバッテリー駆動できるものの、パソコンの起動時は電源に接続した状態でなければ電源が入らない場合も同様にバッテリーの劣化が考えられます。
バッテリーの状態は「Battery report」で確認可能
Windows にはバッテリーの状態を診断してくれる「Battery report」というソフトが標準搭載されています。コマンドを使用するので慣れていない人はためらってしまうかもしれませんが、使用中のバッテリーの状態を知るのは大切なことです。操作は簡単なので一度以下の手順で確認してみて下さい。 1.コマンドプロンプトを開く
2.「powercfg /batteryreport」と入力してEnterキーを押下
3.バッテリー本来の最大充電量や現在の最大充電量などのデータがHTML形式で出力される
バッテリーを長持ちさせる方法
バッテリーは消耗品なのでいずれ寿命を迎えますが、扱い方次第で寿命は長くも短くもなります。ここではバッテリーを長持ちさせるコツについて紹介します。
-
省電力設定にする
バッテリーは充放電を繰り返すごとに消耗していくため、消費電力を抑えられればバッテリーを長持ちさせることができます。具体的には、ディスプレイの明るさを調節して輝度を下げたり、ダークモードに設定したりすることでパソコンの消費電力を抑えることが可能。また、離席する際はスリープモードを活用するなど、省電力につながる行動を心がけることも大切です。
-
満充電を避ける
現在ノートパソコンに搭載されているバッテリーはリチウムイオンバッテリーが主流です。リチウムイオンバッテリーは満充電の状態になると劣化が早く進むため、100%まで充電せずに50~80%程度を目安に充電をやめることが大切。最近のパソコンであれば、自動的に満充電を避けて充電できる機能が付いているモデルもあります。
-
過酷な環境での使用を避ける
リチウムイオンバッテリーは暑過ぎたり寒過ぎたりといった過酷な環境下で使用すると劣化が早く進みます。室温は45度以下、湿度は75%以下を維持できるよう室内環境を整えましょう。また、パソコンケースに入れたまま使用したり、布団の上で使用したりするのは吸排気口をふさいでしまう可能性があるため避けた方が無難です。
まとめ
ノートパソコンのスペックとして記載されるバッテリーの駆動時間ですが、測定方法によって実際に使用できる時間との間に乖離がある場合があります。特に古いモデルは現代の使い方にそぐわない方法で測定されたものもあるため注意しましょう。バッテリーの性能自体は以前と比べると向上してきています。駆動時間の長いモデルが欲しいのであれば、できるだけ新しく発売されたモデルを選ぶのも一つの手です。