目 次
ゲーミングPCにおけるメモリの役割とは
メモリとはデータを記録するためのパーツですが、日本ではメモリというとRAM(Random Access Memory)のことを指すことが一般的です。メモリは、CPUというPCの頭脳部分がデータを一時的に保存するときに使用します。 データ記録のためのパーツにはほかに、CDやDVDなどの読み込みだけができるROM(Read Only Memory)、画像や動画を長期的に保存するストレージがあります。ただ、日本ではRAMをメモリとし、ROMとストレージを同じ意味で使うことがほとんどです。 つまり、本来メモリとはデータの記録全般を指すものですが、日本ではゲーミングPCなどの機器が内部処理を行うときに、短期的にデータを保管する役割のものを指します。
ゲーミングPCのメモリが不足するとどうなる?
メモリは種類によって容量が異なり、容量が大きくなるほどCPUは多数の処理ができるようになります。 ゲーミングPCでメモリの容量が足りなくなると、ゲームの動きがカクカクとしてスムーズに動かなくなることがあります。それどころか、ゲームを起動するまでに時間がかかりエラーとなる、途中でゲームが強制的に終了してしまう可能性もあるでしょう。 ゲーミングPCで楽しむような3Dグラフィックスのゲームは、メモリへの負荷が高いものが多い傾向にあります。メモリの容量が小さいと快適にゲームができなくなるため、メモリは十分大きなものを選んだほうがよいでしょう。 ゲームの種類によっては、十分楽しむために必要なメモリの推奨容量を公開しているものもあるため、そちらも確認するようにしてください。
ゲーミングPCのメモリの種類と特徴
ゲーミングPCでゲームを楽しむためには、メモリの容量はかなり重要な要素の一つとなります。メモリの容量によって、快適にゲームを操作できるかどうか左右されるからです。そこで、この章ではゲーミングPCにおけるメモリの特徴と、最近主流の種類について解説します。
-
容量が大きいとゲーミングPCの
処理に余裕ができるゲーミングPCがスムーズに処理できるようにするためには、メモリの容量が十分でなければなりません。先程解説したように、メモリの容量が不足すると、処理に時間がかかりスムーズにゲームができなくなるからです。
ただし、メモリの大きさが大きければ大きいほど、ゲーミングPCの操作性が上がるわけではありません。メモリによりCPUやGPU(グラフィックボード、映像処理のためのパーツ)の性能を高めることはできないため、いくらメモリが大きくても処理速度には限界があります。
CPUやGPUなどほかのパーツの性能、遊びたいゲームが必要とするメモリ容量を確認し、最適な容量を用意することが重要です。そうすれば、動作がもたつく、挙動が遅い、動きがカクつく、といったことがなく、快適にゲームをプレイできるでしょう。
-
主流のメモリは
「DDR4」と「DDR5」よく使用される主流のメモリとしてDDR4がありましたが、さらに新しく性能が上がったDDR5が普及しつつあります。
DDR4とDDR5はピンの数が288ピンと同じではありますが、切り欠きの部分に違いがあり、互換性はありません。そのため、DDR4が取り付けられているマザーボードにDDR5を搭載することはできず、DDR4利用者がDDR5を使うためにはマザーボードごとの交換が必要です。
また、CPUによっても対応できるものが異なるものがあり、AMD社のRyzen 7000シリーズは対応がDDR5メモリのみです(Intelの第13世代Coreはどちらも対応しています)。
ゲーミングPCに必要なメモリ容量の目安
ゲーミングPCで3Dグラフィックスゲームを楽しむためには、メモリ容量は最低でも8GBは必要です。ゲーム目的ではないPCで、オフィスソフトやインターネットサーフィンなどを行うときには、4GBで十分なケースも多く、ゲームには比較的容量が大きいメモリが必要になることがわかります。 ただし、ゲーミングPCにおいてメモリが8GBというと最低限のクラスです。8GBあれば、FortniteやApexなど、代表的なゲームはほとんどプレイ可能です。ただ、最高画質で美しいグラフィックスを楽しむためには、メモリは16GBあったほうがよいでしょう。 メモリには32GB以上のものもありますが、通常ゲームを楽しむ範囲では16GBあれば問題ありません。
代表的なゲーミングPCのメモリの容量と特徴
メモリの容量には、4GB、8GB、16GB、32GB、64GB、128GB…と2の乗数の数値で増えていきます。これはコンピュータが0か1かの2進数でデータを認識するからです。ゲーミングPCに搭載されるメモリの容量は幅広く、4GBから大きいものでは128GBのものがあります。メモリが256GB以上のものとなるとかなり珍しくなります。 ここでは、ゲーミングPCのメモリ別の特徴や使用感について解説します。
-
4GB
前世代のゲームでは4GBでも動作するものもありましたが、2023年現在人気のゲームではメモリ4GBでは足りなくなっています。3Dグラフィックスを使用しないような軽いゲームであれば、4GBでも動作しないわけではありませんが、力不足であることは事実でしょう。
ゲームの起動にかなりの時間がかかったり、映像がカクカクとして動かなかったりするだけではなく、ゲームがほとんど動作しないこともあります。
実際に、ゲーミングPCとして販売されているものでは、メモリ4GBのものはかなり少なくなっています。ただし、インターネットやオフィスソフトの利用だけあれば4GBでも問題ありません。ゲーミングPCではない一般のPCでは、メモリ4GBのものも多くあります。
-
8GB
ゲーミングPCでゲームを楽しむためには、メモリ8GBは最低限必要です。メモリが8GBあれば、ゲームを起動し楽しむことはできるでしょう。人気が高いFortniteやApexなども、メモリ8GBのゲーミングPCであれば十分プレイできます。
ただ、0.01秒の精度でゲームをしたい人、ゲームだけではなくボイスチャットも同時に行いたい人にとっては不十分かもしれません。また、最近ゲームとして主流になってきた美しいグラフィックスを高画質で楽しみたいときにも、8GBでは物足りなく感じる人も多いでしょう。
メモリの容量が大きくなると価格も上がってしまいますが、ゲームを十分に楽しむためには8GBよりも16GB以上のものをおすすめします。
-
16GB
現在販売されているゲーミングPCでは、メモリ16GBのものが多い傾向にあるでしょう。
16GBあれば大半のゲームはプレイできますし、ゲーミングPCの能力として十分といえます。ゲームをしながらチャットツールで会話を楽しんだり、インターネットを見たりと、ほかの作業と平行することもできるようになります。
メモリが32GB以上となるとスペックが上がりゲーミングPCの価格が上昇することもあり、16GBは人気が高いメモリの容量です。ゲーム目的でPCを使用するとき、32GB以上のメモリが必要となる場面もさほど多くはありません。
ただ、16GBよりも32GBのメモリのほうがパフォーマンスが向上することも事実です。16GBでも十分ではありますが、よりゲームや周辺ソフトを楽しみたいのであれば、32GB以上のものを検討しましょう。
-
32GB
メモリ32GBのゲーミングPCは、16GBの次に種類が多くあります。
先程も説明しましたが、ゲームを楽しむことが主目的な人にとっては、メモリ16GBであれば十分でしょう。32GBのメモリが必要となるのは、チャットをしながらゲームを行い、それをインターネット配信したい、というような人です。また、0.01秒の精度でゲームを行うような人も32GBはあったほうがよいでしょう。
そのほか、ゲームだけではなく、3DCGモデリングやアニメーションを多用した動画作成をする人も、メモリは32GBあると安心です。
ただし、32GBもあるメモリを活かすためには、CPUやGPUも高性能でなければ意味がないため、注意してください。
-
64GB
ゲーミングPCのなかにはメモリ64GBを搭載しているものもあります。プロゲーマーなどゲームを本格的に行う人の中にはメモリ64GBを選ぶ人もいますが、ほとんどの場合64GBものメモリは必要ありません。ゲームをプレイするだけであるならば、メモリ64GBはオーバースペックです。
実際に、64GBのメモリが搭載されたゲーミングPCの種類は、16GB、32GBに比べ少なくなります。また、そこまでのスペックのものになると価格も高く、相場としては50万円~80万円ほどです。
初めてゲーミングPCを買う人、ただゲームを楽しみたい人にとっては、このような高スペックのものはおすすめできません。
-
128GB以上
メモリ128GB以上のゲーミングPCはあるにはありますが、種類は限られます。価格も100万円を超えてきますし、普通の人にとってはまず必要ありません。ゲーミングノートPCでは、メモリ128GB以上のものは存在しないといってもよいでしょう。
3Dグラフィックスが美しい高負荷のゲームをするとしても、128GB以上あるメモリのゲーミングPCでなくても十分に楽しめます。
メモリ128GB以上のゲーミングPCが必要となるのは、職業として大規模サービス開発を行うとき、プロとしてeスポーツへ参加するときなど、かなり限られた状況です。
ゲーミングPCのメモリは増設スロットがあれば増やすことも可能
デスクトップ型のゲーミングPCでマザーボードに増設スロットがあるなら、メモリの増設は可能です。つまり16GBのメモリが搭載されたゲーミングPCでも、空きスロットに16GBを差し込めば、メモリ32GBのゲーミングPCにできます。 また、スロットに空きがなくてもメモリを付け替えることによりメモリの容量を増やすことも可能です。例えば、16GBのメモリを外し、同規格の32GBのメモリに差し替えれば、メモリを16GBから32GBに増やせます。 ただし、このような運用方法はゲーミングPCのマザーボードの状況によって異なります。スロットの数や、CPUやGPUが対応できる最大メモリ容量によっても増設ができるかどうか異なるため、事前に確認することが重要です。
ゲーミングPCのメモリを増設するときの注意点
メモリの増設はゲーミングPCの改造でさほど難しいものではありません。しかし、正しいメモリを選ばないと基盤に差し込めないこともありますし、CPUやGPUのスペック的にメモリの容量を増やしても無駄になるかもしれません。きちんとメモリを増設し、快適にゲーミングPCを使うためには、以下の注意点に留意してください。
-
本当に増設が必要なのかよく検討する
まずは、本当にメモリ増設が必要なのかよく考えてみましょう。
PCの動作が重く動きづらいときでも、ウイルス感染やストレージ不足など、原因はメモリではないことがあります。特に使用年数が長くなると、マザーボードまるごと買い替えたほうがよいケースも少なくありません。そのような状況でメモリだけ買い替えても、無駄になってしまいます。
すでに使用年数が10年ちかくになるようであれば、ゲーミングPC自体の買い替えを検討してください。
-
メモリの規格と形状を確認する
メモリはマザーボードのスロットに差し込みますが、すべての種類が差し込み可能なわけではありません。ピンの数や切り欠きの部分により差し込めるメモリの種類は限られます。また、空きスロットがなければメモリの追加はできず、交換によって増設するしかありません。
また、ゲーミングPCの種類や搭載されているOSによって搭載できるメモリの最大容量も決まっています。ゲーミングPCの取扱説明書を確認し、購入するメモリを決めてください。
-
メモリの種類は偶数単位で揃える
メモリは1枚、2枚、4枚で運用することが一般的です。3枚にすることも可能ですが、3枚にするのであれば2枚か4枚にしたほうが性能的に優れているとされています。
また、2枚、4枚にするのであれば、そのとき使用するメモリの容量や規格をすべて揃えるようにしてください。そうすると、メモリが「デュアルチャネル」となり、よりメモリの性能を高められます。なるべくならば全く同じメモリを採用することがおすすめです。
ゲーミングPCにおすすめのメモリ3選
ゲーミングPCに搭載するメモリであれば最低でも8GB、できれば16GB、高性能のものを求めるなら32GBのものを選びましょう。16GBにしたいのであれば8GB×2、32GBにしたいなら16GB×2、もしくは8GB×4でも問題ありません。 容量による種類のほかに、開発しているメーカーによる種類の違いもあります。ただ、そこまで大きな違いは出ないため、基本的に容量やデータ送信速度で選ぶようにすれば問題ないでしょう。ここでは、ゲーミングPCにおすすめのメモリ3種を紹介します。
-
おすすめ
Lenovo 8GB DDR4 3200MHz UDIMM メモリ 2
容量 8GB 重さ 15 g サイズ(高さ×長さ×奥行) 約30.0 mm×69.60 mm×1.2 mm 接続タイプ UDIMM DDR4シリーズのメモリです。容量は8GBなので、メモリは8GB、もしくは2枚使用して16GBにしたい、という人が使えます。転送速度は3200MHzと、おすすめ①、②より落ちますが、ゲームをするのに十分な転送速度でしょう。
まとめ
メモリとは、CPUが処理を行うときにデータを記録しておく部分であり、容量が大きいと処理速度は早くなります(ただしCPUの性能による限界はあります)。メモリの容量が少ないと、ゲームの動きが悪くなるおそれがあるため、最低でも8GB、できれば16GBあるものを選びましょう。 ただし、デスクトップ型のゲーミングPCに空きスロットがあればメモリは増設可能です。まずは8GBや16GBのゲーミングPCを購入し、どうしてもメモリを増やしたいときに増設もしくは交換によりメモリを増やす方法もあります。もし、複数のメモリを接続するときには、同じ種類、容量のものにするようにしてください。