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ゲーミングモニターとは
ゲーミングモニターとは、ゲームをプレイするに特化したモニターのことをいいます。高い描画性能を備えており、カクつきや遅延が発生しにくいのが特徴。ゲームのジャンルによっては素早い反応を求められるものもあり、ゲーミングモニターを使っているかどうかがプレイの結果に直結することもあり得ます。もちろん「ゲーミング」と呼ばれているからと言ってゲームにしか使えないというわけではありません。仕事や趣味など、ゲーム以外の用途で使うモニターとしても活用することができます。
普通のモニターやテレビとの違い
普通のモニターでもゲーム映像を映すことは可能です。ただし、ゲームの場合はプレイヤーが入力した信号に対して迅速に描画処理して映像を映し出す必要があります。この処理を行うことができるかどうかが、ゲーミングモニターと普通のモニターの大きな違いです。それぞれの違いについて詳しく解説します。
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ゲームを有利に進められる
ゲーミングモニターの性能によっては、ゲームを有利に進められるかもしれません。なぜ有利になるのか、モニターの性能を表す「応答速度」や「入力遅延」「リフレッシュレート」の観点から、ゲーミングモニターを使うことによるメリットについて説明します。
● 応答速度が速い
ゲーミングモニターは普通のモニターよりも応答速度が速いという特徴があります。ゲーミングモニターにおける応答速度とは、画面の色の切り替えに要する時間のことで「ms(ミリセカンド)」の単位で表されます。例えば「5ms」と表記されていれば、画面の切り替わりに0.005秒かかるということになります。数値が小さいほど応答速度が速いことを意味し、応答速度の速いモニターほど残像間を抑えて滑らかな映像を映し出すことができます。
対戦相手のちょっとした動きを察知して反応する必要のあるジャンル、例えばFPSや格闘ゲーム、レーシングなどにおいては特に応答速度が重要です。もし応答速度が遅ければいくらプレイヤーの反応が早くても画面の動きが遅れてしまい、なかなか対戦相手に勝てないということもあるかもしれません。
● 入力遅延が少ない
入力遅延とは、デバイスから入力した信号がモニターに伝わり、伝わってから実際に表示されるまでのわずかながらタイムラグのことを言います。表示遅延や内部遅延と呼ばれることもあり、ゲーミングモニターは普通のモニターよりも入力遅延が少なくなるよう設計されています。
入力遅延が大きく、自分の操作と表示される映像との間に大きなタイムラグがあると、「避けたはずの敵の攻撃が当たってしまう」「しっかりと狙ったはずなのに攻撃が相手にヒットしない」といったことが起こります。本来なら勝てたはずの勝負に、モニターのせいで負けてしまうのはストレスが溜まりますよね。場合によってはゲームをするのが楽しくなくなってしまうこともあるかもしれません。
● リフレッシュレートが高く動きが滑らか
リフレッシュレートとは、1秒間に画面が切り替わる回数を表したものです。「ヘルツ(Hz)」の単位で表記され、数値が大きいほど画面の更新回数が多いことを意味します。例えば「144Hz」と表記されている場合は、1秒間に144回画面の書き換えが行われるということになります。リフレッシュレートの数値が高いほど画面の動きが滑らかになり、わずかな動きも見逃したくないといったジャンルのゲームではリフレッシュレートが重要です。
普通のモニターやテレビなどのリフレッシュレートは60Hzが一般的ですが、ゲーミングモニターは144Hz以上のモデルが一般的です。両社のリフレッシュレートには2倍以上の差があるため、どちらのモニターを使っているかによって画面の見え方にはかなりの差を感じられるでしょう。
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高解像度で美しい映像を堪能できる
解像度とは、画面に表示されるドットの数のことをいいます。解像度が高いほど美麗で精細なグラフィックを表示することができますが、解像度が高いとパソコンにかかる負荷も高くなります。高解像度の映像をスムーズに映し出すにはそれなりのスペックのパソコンが必要となりますが、ゲーミングPCと接続して使うことを前提としているゲーミングモニターには、高解像度のモデルも多数用意されています。ゲーミングモニターを使えば、美しい映像と滑らかな動きによって深い没入感を味わうことができるでしょう。
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目や身体への負担を
軽減することができるゲーミングモニターによっては、反射を抑えるノングレア(非光沢)のパネルを採用していたり、ブルーライトやフリッカー(ちらつき)を抑える機能を持っていたりするモデルもあります。また、モニターの高さや角度を調節できるモデルも多く、長時間ゲームをプレイしても疲れにくくするための工夫が凝らされています。ゲームに熱中しているとあっという間に時間が経ってしまいますよね。長時間ゲームをプレイする可能性があるなら、身体への負担を軽減できるゲーミングモニターを使うことをおすすめします。
ゲーミングモニターの選び方
ゲーミングモニターは、扱っているメーカーも製品ラインアップも豊富なため、どれを選べば良いか迷ってしまいますよね。ここでは、自分に最適なモニターを探すためにスペックの確認方法や、モニターの選び方について解説します。
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画面サイズ
ゲーミングモニターを購入する際、最初に決めておきたいのが画面のサイズです。ゲーミングモニターのサイズは画面の角と角を結んだ対角線の長さであるインチ数で表されることが一般的。ここではゲーミングモニターのサイズを選ぶ時のポイントについて解説します。
● 24~27型が一般的
ゲーミングモニターの画面サイズは、24~27インチを基準に選ぶのがおすすめです。画面が小さ過ぎると文字などを読みにくくなりますし、逆に画面が大き過ぎると隅々まで視認することが難しくなるといった問題があります。一目で画面全体を見やすいのが24インチだと言われており、eスポーツの公式大会でも24インチの画面が使用されることがあるほど使いやすいサイズが24~27インチなのです。後ほど説明する解像度が同じ場合、画面サイズが大きいほど画質は荒くなってしまいます。大人数で同時にプレイする場合などは大画面が使いやすいですが、設置場所や画面との距離など使い方に合ったサイズのモニターを選びましょう。
● ウルトラワイドなら高い没入感を得られる
ゲーミングモニターの中には、ウルトラワイドとよばれる通常のモニターよりも横幅の広いモニターが存在します。一般的なモニターのアスペクト比は16:9ですが、ウルトラワイドのアスペクト比は21:9以上と、通常よりも広い領域を表示することができます。ゲーム自体がウルトラワイドに対応していることという条件はありますが、通常は見切れてしまう左右の情報も描画されるのはウルトラワイドならではの魅力。オープンワールドのMMOやレーシングなどのジャンルでは、より高い没入感を味わうことができるでしょう。
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解像度
解像度とは、ディスプレイに表示するドットの数のことで、「横のドット数×縦のドット数」で表示されます。数値が高いほど精細な映像を映し出すことができますが、高解像度になるほどモニターの価格は高くなり、映像処理のために求められるパソコンのスペックも上がります。ゲーミングモニターの解像度は主にフルHD、WQHD、4Kの3種類があり、コストと機能のバランスを考慮して選ぶことが大切です。それぞれの特徴について見ていきましょう。
● フルHD
フルHDとは、フルハイビジョンとも呼ばれ、解像度が1,920×1,080の規格のものをいいます。「1080p」や「FHD」と表記されることもあり、数あるゲーミングモニターの中で最も主流なのがこのフルHDです。
WQHDや4Kと比べると解像度は低いものの、24~27インチのゲーミングモニターであれば、高解像度のモニターとの違いもそれほど感じられません。また、WQHDや4Kよりもモニター自体の価格が安く、コスパが良いのもフルHDの魅力です。さらに、多くのゲームはフルHDに最適化されているので、十分美しい画質でプレイできる他、パソコンに求められるスペックもそこまで高くないため、フルHDは多くのユーザーにとってメリットの大きい解像度であると言えるでしょう。
● WQHD
WQHDとは、解像度が2560×1440の規格のものをいいます。「1440p」と表記されることもあり、フルHDと4Kのちょうど中間といった位置付けの解像度です。フルHDよりも滑らかで美しい映像を楽しむことができ、4Kと比べると画像処理がそこまで重くならないため、それほど高性能なパソコンでなくても高いフレームレートでゲームをプレイすることが可能です。WQHDの場合、画質の緻密さと文字の読みやすさを両立させるため、27インチ以上のモニターが推奨されます。
● 4K
4Kとは、解像度が3,840×2,160の規格のものをいいます。「UHD(Ultra-High Definition)」や、「2160p」と表記されることもあり、フルHDやWQHDよりも精細できれいな映像を映し出すことができます。深い没入感を味わいながらゲームをプレイできるといったメリットがある一方で、4Kでは表示される情報量が多く、文字などが小さく読みにくくなってしまうといったデメリットがあります。4Kのモニターを導入するなら30インチ以上のものを選ぶことをおすすめします。
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パネルの種類
ゲーミングモニターで使われている液晶パネルは主にIPS、VA、TNの主に3種類があります。また、最近は液晶とは別に有機ELのモデルも注目を集めています。パネルの種類によって画質の美しさや応答速度、価格に差があるため、好みやプレイしたいゲームのジャンルに合わせて、最適なパネルを選びましょう。
● IPS
IPS(IN Plane Switching)とは、液晶パネルの一つでIPS方式を採用したパネルです。視野角に優れ、画面を見る角度が変わっても色の変化がほとんどなく、色の再現度が高く画質がきれいといった特徴を持ちます。以前はIPSだと応答速度が遅く、ゲームには不向きであるとされていました。しかし、最近のIPSは応答速度の速いモデルのラインアップも増えてきました。他の液晶と比べると価格は高いものの、色の再現性が高く、画質重視の人やクリエイト作業に使いたい人におすすめです。
● TN
TN(Twisted Nematic)とは、パソコンやスマホなど幅広い用途で使われている液晶パネルです。TNパネルは普及率が高く、IPSパネルやVAパネルと比べるとラインアップが豊富な上、値段が安いといった特徴があります。また、他のパネルよりも応答速度が速いため、勝ちにこだわりたいゲーマーにおすすめのパネルです。視野角が狭く、見る角度によって色変化が大きいというデメリットはあるものの、正面から画面を見てプレイする分にはほとんど影響はありません。
● VA
VA(Vertical Alignment)とは、コントラストがはっきりしており、黒色の表示に優れているパネルです。バックライトの光を完全に遮断することで純粋な黒を表現できるため、ゲームだけでなく映画や動画を鑑賞するのにも適しており、液晶テレビにもよくVAパネルが採用されています。価格や応答速度はIPSパネルとTNパネルの中間といったところで、VAパネルはバランスが取れたコスパの良いパネルと言えるでしょう。
● 有機EL
有機ELとは、これまで紹介してきた液晶パネルとは素材や発光の仕組みが異なる、発色が良く色彩表現に優れたパネルです。有機ELではバックライトを必要としないため、自然な色合いを表現することが可能。また、応答速度も速く、残像が出にくいとも言われています。さらに、バックライトがない分、他のパネルよりも消費電力が小さく、目への負担も小さいというメリットもあります。価格は液晶パネルより高めですが、発色の美しさや見やすさを重視したい人におすすめのパネルです。
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リフレッシュレート
先述の通り、リフレッシュレートとは1秒間に画面が切り替わる回数を表したものです。リフレッシュレートが低ければ画面の更新回数が少ないためカクついた動きに見え、逆に高ければ画面の更新回数が多くなり動きが滑らかに見えます。モニターによってリフレッシュレートは異なるため、FPSや格闘ゲームなどわずかな動きを察知することで有利になるゲームをプレイする際は、リフレッシュレートが高いモニターを選びましょう。具体的にどの程度のスペックを選べば良いかについて解説していきます。
● 144Hz以上がおすすめ
ゲーミングモニターを選ぶ際は、リフレッシュレートが144Hz以上のモデルを選ぶことをおすすめします。将棋や麻雀などのテーブルゲームしかプレイしないという場合はそこまで高くなくても良いのですが、FPSなど素早い反応を求められるゲームをプレイするのであればリフレッシュレートが重要になってきます。中には240Hzなど、高速リフレッシュレートのモデルもありますが、リフレッシュレートの高いモデルは値段も高い傾向があります。144Hz以上になると違いを体感しにくくなるとも言われているため無理をする必要はありませんが、最低でも144Hz以上のモデルを選びましょう。
● SwitchやPS4なら60Hzでも大丈夫
SwitchやPS4などの家庭用ゲーム機は、高リフレッシュレートに対応していない場合もあります。例えば、PS5なら120Hzの描画に、SwitchやPS4は60Hzの描画に対応しています。仮にリフレッシュレートが144Hzのモニターを購入しても、ゲーム機が対応している以上の応答速度は出ないため、家庭用ゲーム機でしかプレイしないのであれば、そこまで高スペックのモニターを用意する必要はないでしょう、ただし、もし将来的に他のゲームもプレイする可能性があるのなら、初めから144Hz以上のモニターを選んでおけば安心です。
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応答速度
応答速度の速さについても、モニターを選ぶ上では無視することのできない数値です。fpsなどアクション要素のあるゲームなら1以下を、もし可能であれば0.5msを目安に選びましょう。応答速度が遅ければしっかり反応しているつもりでも、なぜか敵の攻撃が当たってしまったり、逆にこちらの攻撃が外れたりといったことも起こり得ます。応答速度はパネルの種類や解像度によっても左右されるので、グラフィックの美しさを重視するのか、応答速度の速さを重視するのかよく考えてモニターを選ぶ必要があります。
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画面の形状
ゲーミングモニターの中には画面の形状がフラットな平面モニターの他にも、緩やかなカーブを描いた湾曲型のモデルも存在します。平面モデルでは画面と目との距離が、中央よりも両端の方が遠くなりますが、湾曲モニターは目と画面全体の距離がほぼ一定に保たれます。そのため、視点移動が容易で画面全体を視認しやすいのが特徴。また、視点移動の距離が短いということは、目の負担を軽減することにもつながり、長時間のプレイでも疲れにくく、高い没入感を得ることができるというメリットもあります。
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接続端子
ゲーミングモニターには「DisplayPort」「HDMI」「DVI」「D-Sub」「USB Type-C」などの入力端子があります。接続するパソコンやゲーム機の出力端子によって必要な端子の種類は異なるため、遊びたいゲームが決まっている人は、端子の種類もチェックしておきましょう。
また、ゲーミングモニターに複数の機器をつないで使用するのであれば、端子の数も重要です。十分な数の端子が備わっていれば、PS5やNintendo Switch、パソコンなど、接続機器を切り替える度にわざわざケーブルを抜き差しする手間が不要になります。
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その他の要因
ここからは、ゲーミングモニターを選ぶ上であったら便利というその他の機能について紹介します。これまで紹介した項目より優先度は下がりますが、知っておくとモニター選びに迷った時の参考になるかもしれません。
● モニターの角度調整機能の有無
ほとんどのゲーミングモニターには、角度や高さなどを調整する機能が備わっています。長時間同じ姿勢でゲームをプレイしていると疲れてくるので、体勢を変えてプレイすることもありますよね。体勢に合わせて画面の向きを見やすい状態に変えることができれば、身体への負担を軽減できます。よくある機能としては以下のようなものがあります。
- チルト:モニターを上下に角度調整できる機能
- スイベル:台座を固定したまま左右に首振りができる機能
- ピボット:モニターを回転させることができる機能(縦置き可能)
- 高さ調整:モニターの高さを調整することができる機能
● VESA規格への適合
VESA規格とは、ゲーミングモニターなどの映像機器をアームやスタンドに取り付けるためのねじ穴の間隔について定められた国際標準規格です。ねじ穴の間隔を横×縦で表しており、例えば200×100mmと記載されている場合は横のねじ穴の間隔が200mm、縦のねじ穴の間隔が100mmということを意味しています。VESA規格に適合しているモニターやアームを使えば、いつか買い替えが必要となった時に必要な部分のみを取り換えることができるというメリットがあります。
● 内蔵スピーカーの有無
ゲーミングモニターによっては内蔵スピーカーが搭載されているモデルもあります。内蔵スピーカーがあれば別途スピーカーを用意する必要がないため追加費用がかかりませんし、設置場所も省スペースで済みます。音質については外付けのスピーカーには及ばないものの、音質にそこまでこだわりがないのであれば内蔵スピーカー付きのモデルを選ぶと何かと便利です。
● ブルーライトカット機能
モニターによってはブルーライトをカットしてくれる機能の付いたモデルもあります。パソコンやスマホから出ているブルーライトを見続けると目に負担がかかると言われているため、長時間ゲームをプレイする可能性があるなら検討してみても良いかもしれません。
まとめ
ゲーミングモニターと普通のモニターとの間には、性能に圧倒的な違いがあります。応答速度やリフレッシュレートの高さはゲームをプレイする時の遅延や残像感を解消するのに必須です。プレイするゲームの内容によってはそこまで高性能なモニターを用意する必要はないこともあるでしょう。しかし、ゲームプレイに最適化されたゲーミングモニターは、ゲームを有利にするだけでなく、身体への負担を軽減したり没入感を高めたりするための工夫が凝らされています。本格的にゲームを楽しみたい人は、ぜひ1度ゲーミングモニターを使ってみて下さい。