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モニターの応答速度を基本から解説
モニターのスペックといえば画面サイズと解像度が基本ではあるものの、モニターを選んでいると応答速度という言葉を見かけることがあります。応答速度とはモニターのどういった性能をあらわしているのでしょうか。
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応答速度とは
モニターの応答速度とは、画面の色が切り替わる時間のことをいいます。応答速度が速ければ速いほど、映像の色の切り替わりが速いことを意味します。単位はms(ミリ秒)です。しかし、色の切り替わりが速いとは、どういうことなのでしょうか。
色の切り替わりが速いと動きの激しい映像を表示する時に、残像やブレなどを抑えて鮮明な映像を映し出せるようになります。つまり、動きの激しいゲームや映画などを鑑賞する時に、美しい映像で楽しめるようになるのです。応答速度はゲームで遊ぶ人に重要視されるスペックで、映像のブレがあると勝敗に影響するようなゲームで遊ぶ時に可能な限りの速さを求められます。書類作成などビジネス用途では、あまり重視しないポイントです。
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応答速度の種類:GTGとMPRT
モニターの応答速度には、GTG(Gray to Gray)とMPRT(Moving Picture Response Time)の2種類があります。どちらもモニターの応答速度をあらわすのですが、少しだけ意味が異なります。
GTGは中間色から中間色へ切り替わる時の応答速度のことです。ゲームの映像は中間色から中間色への切り替えが多くなるため、GTGの数値が重要になります。GTGの数字が小さければ小さいほど、ゲームに適しているといえるでしょう。
MPRTは動く物体の輪郭が表示される速度をあらわし、残像がどれだけ少ないのかを示す指標として使われています。数値が小さいほど残像が少なく、くっきりとした映像でゲームを楽しめることが分かるのです。
ゲーム用のモニターでは、GTGがスペックとしてよく使われています。応答速度の数値はメーカーごとに計測の仕方に違いがあり、メーカーが異なると正確に比較できないことがあります。
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リフレッシュレートとは
モニターのスペックの中では、応答速度とは別によく見るものにリフレッシュレートがあります。リフレッシュレートとは、モニターが1秒間に何回画面を更新するかを示す数値のことで、単位はHz(ヘルツ)であらわします。60Hzのモニターは1秒間に60回、120Hzのモニターは1秒間に120回も画面を更新するため、リフレッシュレートが高いほど動きが滑らかです。動きの滑らかな方が瞬時に判断できるようになるため、ゲームを遊ぶ人にはリフレッシュレートの高さも重視されます。
ただし、ゲームの動きを滑らかにするにはモニターのリフレッシュレートだけでなく、パソコンの性能も重要になります。
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リフレッシュレートと応答速度の違い
リフレッシュレートと応答速度は、どちらもモニターの表示性能のスペックをあらわしていますが、それぞれ異なる意味を持っています。リフレッシュレートは1秒間に画面が何回更新されるかを示し、応答速度はモニターの色の切り替えにかかる時間を示します。似ているようで、どちらも異なる性能をあらわしているのです。
リフレッシュレートが高いと動きが滑らかで、スムーズな映像の動きを表現できるようになります。応答速度が高いと色の切り替わりが速くなり、それによって残像やブレを抑えられるようになるのです。リフレッシュレートと応答速度は混同されやすいのですが、このように異なる指標を示しています。どちらの方が重要ということはなく、動きのある映像を表示するモニター選びでは、どちらも重要なポイントになります。
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ゲーム用なら1msが目安
ゲーム用として使用するモニターであれば、応答速度は1msが理想的です。1msとは、画面上の色が1ミリ秒で切り替わることを意味し、これにより動きの速い場面でもブレや残像が抑えられるようになります。
特に一人称視点のゲーム(FPS)や格闘ゲームでは、瞬時の判断が求められるため、応答速度が遅いと相手の動きがぼやけて見えたり、操作に遅れを感じたりすることがあるのです。そのため、1msの応答速度を持つモニターは視認性が高く、ゲームプレイの快適さに貢献します。
仕事用のモニターであれば、応答速度もリフレッシュレートも気にする必要はありません。スペックも画面サイズや解像度が重要で、リフレッシュレートは60Hz、応答速度は記載していないことが一般的です。
液晶パネルの種類と特徴を解説
モニターでは主に「TN」「VA」「IPS」という3つの液晶パネルが使われています。それぞれに特徴があり、得意とする映像に違いがあります。それぞれの液晶パネルの違いを詳しく見ていきましょう。
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TNパネル
TNパネルは液晶モニターでよく利用されています。TNパネルは液晶分子が電圧によってねじれることで、バックライトの遮断と透過をコントロールする仕組みになっています。シンプルな構造のため価格が安く、さまざまな製品で使用されている液晶パネルです。
ただし、欠点としてモニターを斜めから見ると、色が変わってしまいます。そのため、大勢の人が集まって、モニターを見るような使い方にTNパネルは適していません。また、TNパネルは応答速度の速さに優れているため、ゲーム用のモニターに適しています。
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VAパネル
VAパネルは黒の美しさが特徴の液晶パネルです。液晶分子に電圧をかけると垂直から水平方向に回転することで、バックライトの遮断と透過をコントロールします。電圧がオフの状態になると光をほとんど遮断するため、黒を美しく表現できるのです。コントラストも高く、映像を美しく表示する用途に適しています。
VAパネルには、応答速度が遅いという欠点があります。また、TNパネルほどではありませんが、斜めからモニターを見るとやや色が変化してしまうのも欠点です。映像の美しさを重視する映画の他、動きの激しくないRPGなどのゲームに適しています。
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IPSパネル
IPSパネルは色の再現性と、視野角の広さに優れた液晶パネルです。液晶分子に電圧をかけると水平方向に回転し、その回転具合をコントロールすることでバックライトを遮断・透過します。色の再現性に優れている他、斜めから見てもほとんど色が変化しない視野角の広さも大きなメリットです。
応答速度の遅さがIPSパネルの欠点でしたが、技術の進歩によって解消されつつあり、ゲーム用のモニターでも採用されるようになっています。そのため、動きの激しいゲームにも対応可能です。ただし、他の液晶パネルと比べて、価格が高くなります。
ゲーミングモニターを選ぶポイント
ゲーミングモニターを選ぶ時は応答速度やリフレッシュレートだけでなく、解像度や液晶パネルのタイプなど、さまざまな要素を考慮する必要があります。これらのポイントを押さえることで、快適なゲーム環境を整えられるのです。ゲーミングモニター選びのポイントを解説します。
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ゲーミングモニターのメリット
ゲーミングモニターを選ぶ最大のメリットは、応答速度やリフレッシュレートが高く、動きが速いゲームでも滑らかで美しい映像で楽しめる点です。応答速度が速いと敵の動きがブレることなく表示されるため、瞬時の判断がしやすく、Eスポーツで盛んなFPSや格闘ゲームで有利になるでしょう。また、リフレッシュレートの高いモニターは、画面の更新頻度が多いため、映像のカクつきがなくてスムーズに表示されるため、これも瞬時の判断をサポートします。
このようにゲームをより楽しむためにはモニターの欠点を抑えて、スムーズに操作できるゲーミングモニターが欠かせないのです。特にEスポーツが盛り上がっている昨今、ゲーミングモニターの性能は重要な要素になっています。
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そもそもパソコンの性能が重要
ゲーミングモニターの性能を十分に活かすには、パソコンのグラフィック性能が重要です。高いリフレッシュレートや応答速度の速いモニターを使用しても、パソコンの性能が低いと十分なフレームレートが出せず、滑らかな映像を表示できません。特にFPSやレーシングゲームなど、フレームレートが勝敗に直結するゲームでは、グラフィックボード(グラボ)の性能がカギとなります。
例えば、144Hzや240Hzといった高リフレッシュレートを活かすには、パソコンが1秒間にそれだけのフレームを出力できるだけの性能が必要になるのです。もし、パソコンの性能が不足していると、画面がカクついたり、入力の遅延が発生したりして、高性能なモニターを活かしきれません。
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解像度かリフレッシュレートか
ゲーミングモニターを選ぶ時は、解像度とリフレッシュレートのバランスが重要です。解像度が高いほどピクセル数が増えて映像は美しくなるものの、それによってグラボへの負担が増大し、フレームレートを低下させるおそれがあります。これにより、モニターが高リフレッシュレートでも、滑らかに映像を映し出せなくなってしまうのです。
特に解像度が4Kのゲーミングモニターを選ぶ場合、高性能なグラボが必要です。4KはフルHDの4倍もの解像度があるため、それだけの映像負荷に対応できる性能が必要になります。フルHDであればそこまで高い性能のグラボは必要ないため、高いリフレッシュレートでゲームを楽しめるでしょう。
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アスペクト比もチェックポイント
アスペクト比も、ゲーミングモニター選びで重要なポイントです。一般的なモニターのアスペクト比は16:9ですが、ウルトラワイドモニターは21:9や32:9といった極端に横長の比率を持つモニターのことです。ゲームによっては、ウルトラワイドモニターに対応しているため、より広い視野でゲームを楽しめるようになります。FPSやレースゲームなどでは見える範囲が広がり、没入感を高められるでしょう。視野が広い分、他のプレイヤーより、有利にゲームを進められることもあります。
ただし、ウルトラワイドモニターは解像度が高くなるため、グラボの性能も重要になります。また、かなり余裕のある設置スペースも求められるでしょう。
モニターの残像を軽減する技術
ゲームを遊んでいる時に生じる画面の残像は、目障りで快適なプレイに影響するだけでなく、Eスポーツだと勝敗にも影響するおそれのある問題です。この残像を軽減する、ゲーミングモニターの技術を解説します。
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G-SYNCとFreeSync
高いリフレッシュレートを誇るモニター、高いフレームレートを出力できるパソコンでも、それぞれの映像を表示するタイミングがズレると、映像が乱れることがあります。これがティアリングです。また、一瞬動きが止まって見えることもあり、スタッタリングと呼ばれています。
ティアリングやスタッタリングを解消するには、モニターとグラボのタイミングを同期させなくてはなりません。このモニターとパソコンのタイミングを同期させる技術を、NVIDIAのGPU向けであればG-SYNC、AMDのGPU向けであればFreeSyncといいます。これにより安定した映像で、ゲームを楽しめるようになるのです。
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オーバードライブ
オーバードライブとは、ゲーミングモニターの応答速度を向上させる技術のことです。液晶分子へ高い電圧をかけることで中間色の応答速度を高速化させて、激しい動きでも残像を減らし、ブレのない映像を表現できるようにしています。これにより、動きの激しい場面でもくっきりとした映像で、ゲームをプレイできるのです。
オーバードライブの設定は、多くのゲーミングモニターに搭載されており、ユーザーが手動で調整できます。ただし、オーバードライブを強くし過ぎると、かえって残像が生じてしまうこともあります。そのため、オーバードライブはゲームや個人の好みに応じて適切なレベルに調整することが重要です。
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モーションブラーリダクション
モーションブラーリダクションとは、ゲーム中に発生する残像を軽減する技術のことです。黒挿入と呼ぶこともあります。モーションブラーは動きの速い映像で画面にブレや残像が生じてしまう現象のことで、人間の目の働きによって起こっています。バックパネルが常に点灯しているため、目に残像が生じてしまうのです。
モーションブラーリダクションはモニターのバックライトを高速で点滅させることで、目に残った残像を軽減する技術です。これにより映像のブレや残像を解消して、動きがはっきりと見えるようになります。動きの激しいゲームで残像を減らせるため、FPSなどで敵の確認がしやすい効果を期待できます。
ゲーミングPCを選ぶ時のポイント
ゲーミングPCを選ぶ時は、グラボやCPU、メモリー、ストレージなど、さまざまなポイントを考慮する必要があります。これらのポイントを解説した上で、レノボが販売しているおすすめのゲーミングPCを紹介します。
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グラフィックボードの性能が最も重要
ゲーミングPCで最も重要なパーツは、グラボです。グラボはゲームの映像を処理し、画面に表示する役割を担っています。性能が高いグラボほどフレームレートが高くなり、映像がより滑らかに表示されます。これにより応答速度やリフレッシュレートが高いゲーミングモニターの性能を最大限に活用でき、リアルでスムーズなゲーム体験が可能になるのです。
例えば、144Hzや240Hzのモニターを使う場合、グラボの性能が不足していると、モニターの高リフレッシュレートを生かしきれません。そのため、画面の動きがぎこちなくなったり、操作の遅延が生じたりすることがあります。しかし、性能の高いグラボを搭載すれば、フルHDどころか4Kのような高解像度でも高いフレームレートを維持でき、高リフレッシュレートで、応答速度の速いゲーミングモニターでのプレイが快適になります。
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CPUはハイグレード以上がおすすめ
CPUもゲーミングPCでは、重要な役割を果たすパーツのひとつです。性能の高いCPUを搭載していれば、それだけゲームを快適に楽しめるようになるでしょう。ただし、CPUはグラボほど、ゲームのフレームレートに影響しません。ゲーミングPCをサポートするのが、CPUの役割です。CPUの性能をグレードで分けると、次の表のようになります。
インテル AMD ハイグレード Core i9、Core Ultra 9、Core i7、Core Ultra 7 Ryzen 9、Ryzen AI 9、Ryzen 7 ミドルグレード Core i5、Core Ultra 5 Ryzen 5 エントリーグレード Core i3 Ryzen 3 CPUの性能は高い方が良いことは間違いないため、快適さを重視するならハイグレード以上がおすすめです。ただし、最新の大作ゲームでも推奨環境のCPUはCore i5やRyzen 5であることも多く、Core i9ほどハイグレードである必要はなさそうです。
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メモリーは32GB以上なら余裕
ゲーミングPCでメモリーは重要な要素のひとつですが、最新ゲームの多くは16GBのメモリーがあれば十分にプレイ可能です。しかし、余裕を持って32GBのメモリーを搭載することで、より快適なゲーム体験を得られます。32GBのメモリーを持つことで、ゲームのデータを大量にメモリーへ保管できるため、ストレージへのアクセスが減り、読み込み時間の短縮につながるのです。
また、32GBのメモリーは、動画配信しながらのゲームプレイを可能にします。ゲームを遊ぶだけでなく、実況配信なども想定しているのなら、メモリーは多めに搭載しておきましょう。より大容量のメモリーを求める、将来のゲームの登場にも備えられるのもメリットです。
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ストレージは1TB以上を検討する
ゲーミングPCのストレージは、できるだけ大容量であることが望ましいです。近年の大作ゲームは大容量化が進んでおり、1タイトルで100GB以上の容量を必要とすることも珍しくありません。そのため、ストレージ容量は最低でも、1TB以上で検討して下さい。1TB以上のストレージがあれば、複数のゲームをインストールしても容量不足に悩まされることが少なくなります。
また、選択するストレージも、できるだけ高速なものを選びましょう。M.2 SSDはSATA SSDと比べて高速で、より快適にゲームを遊べるようになります。特に大容量の大作ゲームではアクセスの頻度が多くなるため、アクセスの速さを発揮できるでしょう。
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